採用、就活にAIを導入すると、どのような効果を生むかを考えます。このコラムの視点は採用サイドでAIがどのように有効に活用できるかという点を中心に考えています。
人事選考における人事担当者とAIの役割の違いは、人事担当者は「推薦」し、AIは「推奨」することです。推薦はその担当者の判断が入って強く薦めることに対して、推奨はそれを選定する相手のメリットを考えて条件の中からハイスコアの者を奨めることです。
AIは採用における判断条件を正確に迅速に、そしてローコストに提供し競争優位の採用活動の展開条件を整備します。
導入実績
オンライン面接、動画面接・録画面接とは?
オンライン面接、動画面接・録画面接とは、通常であれば現場で対面で行っていた面接を、PCやスマホなどのデジタルデバイスを使用し、ビデオ会議ツールなどオンラインを活用したり、動画や録画で面接を行うことを言います。
企業の採用担当者と求職者が直接対面することなく、オンライン・録画にて面接が完結するというメリットから、現在では幅広く導入されるようになっています。
電話でおこなう電話面接も、ある意味ではオンライン面接・リモート面接と言えると思いますが、オンライン面接・録画面接は、主にオンライン上でビデオ通話などでおこなわれる面接を指すケースがほとんどです。質問内容ややりとり自体は、対面で行う面接と変わらず、オンライン面接・リモート面接でも、話す内容自体に違いはないと言えるでしょう。
逆に大きく違うのは、「機器を使う」「採用担当者と求職者が画面越しにコミュニケーションを行う」という2点です。オンライン面接・リモート面接では、音声や映像にタイムラグが生じ、「普段のテンポで対話できない」と感じたり、「カメラと画面の視線をどこに置けばいいのかわからない」という悩みが生じたりすることもあります。
また、デジタル化された音声や映像では、声のトーンや醸し出す雰囲気、お互いの表情の変化や身振り手振りなどが伝わりづらいと感じ、対面の会話との雰囲気の違いに戸惑ってしまう学生も少なくありません。
オンライン面接、動画面接・録画面接のメリット
ネット環境とデバイスがあれば利用できる
オンライン面接、動画面接・録画面接の特徴は、ネット環境とビデオ通話ができるデバイスさえあれば、インターネット上にあるWeb通話サービスやシステムを利用することで、いつでもどこでも時間や場所を問わずに面接を実施できるという点が挙げられます。
面接を実施する側も、面接を受ける側も移動する必要がなく、面接会場を用意する必要性も低くなり、面接をする手間や準備作業にかかる時間や手間の軽減にも繋がります。
個別面接だけでなく集団面接も可能
オンライン面接、動画面接・録画面接では、個別面接だけでなく、集団面接を実施することも可能です。電話面接の場合は1対1でないと実施ができませんが、複数人とのビデオ通話機能を備えたシステムを使えば、集団面接にも対応ができます。
注意点としては、オンライン面接・リモート面接で集団面接をする場合でも、面接官が全員の顔や意見を把握できる人数に留めたほうが、場の混乱の防止にもなり、評価も適切にできるようになります。
従来の採用面接よりも採用フローを短縮できる
オンライン面接、動画面接・録画面接は、従来の面接よりも採用側・求職者側、双方にかかる負担を減らすことができます。大掛かりな会場の準備をする必要がなく、会議室などで十分ですし、求職者を面接開場まで案内したり見送ったりする必要もありません。海外や遠隔地に住んでいる応募者も面接に参加できるため、「移動時間」「交通費」などの関係で面接を諦めていた遠方の学生や求職者でも、積極的に参加しやすくなります。
また、オンライン面接、動画面接・録画面接の内容や履歴書を社内の従業員と共有すれば、求める人材かどうかを検討・確認することも可能です。採用時の素早い意思決定は、求職者へのアピールにも繋がり、選考辞退者の低減にもつながります。
不測の事態が起きても採用活動を継続できる
オンライン面接、動画面接・録画面接では、遠方に住んでいる求職者とのコミュニケーションが簡単にできるようになります。
そのため、自然災害や感染症の流行などの不測の事態で、移動が制限された場合などでも、安全に採用活動を継続することできます。採用側にとっても応募者側にとっても、採用活動を安全に進められることは大きなメリットとなります。
録画して履歴を残すことができる
オンライン面接、動画面接・録画面接なら、簡単に面接の内容を録画し、履歴を保存することが可能です。録画データを共有しておけば関係者がいつでも内容を確認できるため、採用者の絞り込みや面接内容の共有も容易になります。
また、面接動画を見せることで、面接を実際に行なっていない人からの意見ももらえるようになり、合否の検討をより詳細におこなうことも可能になります。
採用担当者によるパワハラなどを予防できる
オンライン面接、動画面接・録画面接では、面接内容が記録に残るため、採用担当者側のパワハラ・セクハラ発言を予防することができます。企業の方針としてハラスメントを禁じていても、社員が個人的におこなうハラスメントを100%防止することは不可能です。
しかし、動画を残しておけば、本当にハラスメントがあったのか、内容が適切だったのかを第三者的な目線で検証し、適切な対応策を講じることができます。面接を受けた応募者からクレームが入った場合も、公平な対応が可能になります。
また、録画を見直すことで、面接官側も自身の言い回しや質問の内容、態度・表情などを改善していくことができ、面接の質の向上にも繋がります。
企業の雇用環境の変化
最近の雇用環境の変化について「経済財政白書」(2017年度版)を参考にみてみると、その冒頭の第1章では「緩やかな回復が続く日本経済の現状」の中で「今次景気回復局面の特徴の四半世紀ぶりの人手不足感の高まり」とあります。
要因はどうであれ人手不足感は高まっています。このような環境の中で求人ニーズは増えています。けれども実際の雇用においては大企業では採用が順調に伸びているのに雇用マーケットを支えている、零細企業では低下すると言う二極化現象がおき、労働市場においても格差が広がっていると言う点です。雇用問題は大企業のみならず中小企業でも大きな課題となっています。日本経済の先行き不安感が「寄らば大樹の陰」で規模の大きな企業に人気を押し上げています。
また、団塊の世代の労働市場からの退室にともない、1人の正規労働者の退職によるその労働時間の補充を、2人以上の非正規労働者で補充するという形が出来上がっています。採用問題は正規労働者の雇用だけではなく、非正規労働者の雇用にも重要問題です。
AIの活用による人材採用は大企業だけの課題ではなく、中小零細企業も巻き込んだ全企業必須の課題となっています。
出典:http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/h29/shoukibodeta/html/b1_3_2_1.html
AIの活用が企業の採用を考える際の問題を解決する
企業が採用を考える際の課題と問題を整理してみましょう。一番の課題はどのような人材が自分の企業にとって必要な人材か、採用する人材の能力と会社の求めている能力が一致するかです。これは正規、非正規にかかわらず課題となっています。
問題は、なぜ必要とする人材、有能な人材が集まらないかでしょう。注意しなければならないのは「必要とする人材=有能な人材」では必ずしもなく「適材適所」を企業が求めていることです。就活する側は自分の能力を正しく企業に判断してもらい、適所に配置してもらうことです。
しかし、転職を除く大卒の新社会人の能力の判断は非常に難しく「将来性」も含めて評価(カケ?)の上に採用しているのが多くの現状です。
出典:https://rc.persol-group.co.jp/column-report/201410211315.html
【AIによるマッチング】
AIを活用した採用の最適化には二つの側面があります。
一つは採用する人材がその企業にマッチングするか。
二つ目は、企業にその人材にマッチした仕事があるかどうかです。
そのためには、採用しようとする人材のスキル(学歴や学力[成績]、身体的能力)、コミュニケーション能力、積極性、リーダーシップ等の要素と企業内の人材ニーズが合っているかどうかが重要です。
AIには各種の推論エンジンがあります。この推論エンジンの役割は人事担当者へのレコメンド機能のようなものです。ネットショッピングで今までの購入履歴にもとづき、次に購入するオススメ商品を選んでくれるのと同様に、企業の次のプロジェクトや事業戦略上に必要な人材候補をレコメンドしてくれます。
社内の極秘プロジェクトで海外進出の案件があって、採用担当者が知らなくてもAIならそのプロジェクトの要件から、採用者を選び役員面接の候補に推奨してくれるでしょう。
膨大な採用費を劇的に圧縮するAI
AIによるコスト削減は劇的なものです。採用費用とは「人材を採用するのにかかる総経費」のことで単純に面接や入社試験の費用ではなく、広告や求人活動費用、人事部の採用担当の人件費も含まれます。
また、対象が新卒なのか転職なのか、一般職か専門職かなど、どのような人材を採用するかによってこの数字は大きく変わってきます。単純な一人あたりの採用コストを計算するには「採用コストの総額」÷「採用人数」で平均金額が得られますが、その後の人材育成にかかる費用も考えなければなりません。
企業が継続的な成長を続けるため、優秀な人材を採用して確保するためにかかる採用コストは必要なものです。
しかし、より効率的な投資にするには採用プロセスにムダなコストが潜んでいないか充分に分析しなければなりません。「2018年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」によると、入社予定者1人あたりの採用費平均は53.4万円にものぼり、実際には入社辞退者もでるので更に跳ね上がります。採用費総額では上場企業では1,531.8万円にもなります。
出展:2018年卒マイナビ企業新卒内定状況調査)
https://saponet.mynavi.jp/wp/wp-content/uploads/2017/11/2018年卒マイナビ企業新卒内定状況調査20171107.pdf
まとめ
AIではこれらの費用削減ができるだけでなく、次のようなメリットも期待できます。
- ・採用担当者の業務負荷軽減や業務効率向上
- ・AIの導入を起点とした人事業務のパワーシフトが可能
- ・人事データを蓄積できる
AIの活用効果は採用担当者の業務負荷軽減や業務効率向上もそうですが、本質的には単なる効率化ではありません。AIの活用を起点として人事業務のパワーシフトが可能となる点が大きなメリットです。採用担当者が、AIの活用で膨大な書類選考や面接から解放され採用基準をクリアした人材としっかり向き合う時間を確保することができるようになります。内定から入社までの間に企業との「絆」を深めたり、入社後にいち早く戦力化するためのビフォーケアーができるようになります。人事部は採用業務と並行して教育・研修業務を担っている場合があります。内定者のリメディアル教育にも注力できるようになります。
そして最大のメリットは、AIの活用で人事データを蓄積できることです。採用後の人材登用、育成プログラムの構築にまでデータを活用することが可能となるので競争力強化に実に効果的です。AI採用の本質的な目的は人材資源を最大限活かし、「人材」を「人財」にしていくということなのです。
澁谷さくら(AIさくらさん)
ティファナ・ドットコムに所属するAI(人工知能)です。
日頃は、TwitterやInstagramを中心に活動している情報を発信しています。
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