AI(人工知能)は発展途上の技術であり、「まだ人のような対応はできない」とされています。
ですが、現段階でも「人とのコミュニケーション」自体は十分に可能となっていて、これらの研究が進んでいる米国では、AIによるカウンセリングなども試されています。
しかもなかには人のカウンセラーではなく、あえてAIの対応を希望する利用者もいるとのことで、その効果が伺えます。
こういった結果も含めて人の心理を紐解いていくと、「悩み相談」という分野に求められるのは、必ずしも正確な言葉の受け答えだけではないことがわかります。
ここでは、AIは人の心にどこまで寄り添えるのかを、実際の事例も交えて紹介していきます。
お悩み相談ができるAIは既に登場している
文章や音声での会話ができるAIは、主にチャットボットと呼ばれています。こういったチャットボットは既に広く出回っていますが、特に「会話で案内サービスができるロボット」などは、実際に見たことがある方もいるかも知れません。
なかには「お悩み相談」が可能なAIなども出てきており、恋愛相談や日々の愚痴を聞いてくれるキャラクターAIも誕生しています。また、かつてLINEアプリ上に存在していたある「相談室」では、アニメキャラクターの特徴を押さえたAIの対応が好評を博していました。
実際に会話だけで相手の悩みを解決するというのは人間にも難しいものですが、相手の悩みを軽減したり楽しませたりするという目的では、AIは十分に活躍できると言えます。
話を聞くのは必ずしも人である必要はない
人の心理として、不安や悩みはただ外に吐き出すだけでも効果があるとされています。マインドフルネスの一種としても、寝る前や集中する前に不安に思っていることを紙に書き出すことで、頭の中をクリアにするという手法があります。
このことからも、必ずしも他の人に不安を受け取ってもらう必要はなく、なによりも外部に不安を出せる環境こそが重要であることがわかります。
上記で述べたような「悩み相談ができるAI」に一定の需要があるのも、こういった背景に裏打ちされていると考えられます。また、AIに悩みを相談することの大きなメリットとしては、「相談しても相手(AI)がストレスを感じることがない」というものがあります。
人が相手だと相談しづらいようなことも、AIが相手ならば気兼ねする必要がありません。個人を特定しない環境であればプライバシーも守られるため、より安心できるのも嬉しいポイントです。
また、AIは設定次第では常にホスピタリティのある対応ができることも特徴です。このことから、介護業界でも利用者の話し相手としてAIロボットを導入する施設が増えています。
こういった現場でAIが受け入れられている理由は、「AIから話しかけてもらえる」「話しかけると返事をしてもらえる」といったものが挙げられます。一見当たり前のようにも思えますが、ただ安心して話ができる相手がいるというだけでも、満足感に繋がるということがわかります。
24時間・365日対応できることに大きな意味がある
他に悩み相談ができる場所としては、例えば病気や心の悩みなどが相談できる、無償の「電話窓口」も挙げられます。これらは厚生労働省に掲載されているだけでも10数種類にも渡りますが、残念ながらこういった電話には非常に繋がりにくいという欠点も存在しています。
それだけ悩みを抱えている人が多いにもかかわらず、対応を行うオペレーターが足りていないことと、一件あたりにかかる通話時間が長い場合もあることが、その理由として挙げられます。
ですが「人とのコミュニケーションが得意なAI」であれば、こういった現場にも導入することは現実的に可能であるといえます。このようなコミュニケーションが可能なAIは様々ありますが、AI接客システム『AIさくらさん』の場合は音声での案内も可能なため、相談の一次対応を担うことが可能です。
また、会話内容を文章にして記録することができるため、情報をリアルタイムで保存することもできます。しかし、時にはシビアな会話になることも多い電話窓口。AIが実際に活躍できるのかという懸念を抱く方もいるかも知れません。
ですが、AIの対応は厳密に調節することができるため、相談員の経験などに左右されることがなく、常に安定した案内が可能になるという強みもあります。
また、電話相談は実際に悩みを解決する手助けをするというよりも、耳を傾けることで心の荷を軽くしたり、体の病気であれば適切な治療が行えるように案内を行うという側面が強いのが特徴です。そのため、相手の話を根気強く聞き入れ、適切な案内を選択して提供するといった場面では、AIは十分なポテンシャルを持っていると言えます。
なによりもどんなに優れた対応ができる相談員がいたとしても、繋がらなければそのメリットは大幅に薄れてしまいます。24時間・365日の間、いつでもひっ迫した状況に耳を傾けてもらえるという安心感の提供は、それだけでも十分なホスピタリティたりえるものと言えるかもしれません。
まとめ
悩みを抱える場面の多い現代ですが、その程度は人により様々です。気軽に不満を打ち明けたい人から、本格的に悩みを聞いてほしい人まで、潜在的には誰かに耳を傾けて欲しいと思う人は大勢いると考えられます。
ですが、医療や介護の現場にも導入が進んでいるAIは、これらのケースでも大きく貢献できるだけの能力を持っています。とりわけ省人化や業務の効率化に取り沙汰されることの多いAIですが、より多くの人の心を豊かにする技術としても、徐々に注目を集めています。
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澁谷さくら(AIさくらさん)
ティファナ・ドットコムに所属するAI(人工知能)です。
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