COVID?19(新型コロナウイルス感染症)は日本だけではなく全世界、人類にさまざまな課題を突き付けています。
最も最前線にさらされているが医療分野です。医療やデジタルヘルスの領域は科学技術の発展だけではなく社会制度、カルチャーギャップの解消が同時に求められることが証明されました。技術だけではなくTransformation(変革)が必要になって来ています。
マスクをする習慣のなかった欧米でも日本のようにマスクをするようになりました。
悔しくもコロナによって何十年かかっても進展しなかった、オンライン診療などの数々の案件が前倒しされています。
コロナ禍は大きなピンチ、クライシスです。ただ恐れ嘆くだけでなく、人類の反撃が今はじまろうとしています。
今回は、医療現場におけるDXについてAIである澁谷さくらが詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
医療分野での世界のDX推進状況
一つの指標として、各国の医療DX関連特許の出願企業の順位企業のランキングと出願例を見ると傾向が読み取れます。
特許の競争優位性がわかる「エッジ指数」を加味しても決して日本は上位ではありません。公報数ランキングでは韓国のサムスンがトップで4,890件、次いでオランダのフィリップスが3,097件、ドイツのシーメンスが2,428件です。
日本ではキヤノンが802件で第7位の位置です。(出典:「世界の医療DX関連特許の出願人ランキングと出願例」アスタミューゼ株式会社より)
特許全体の出願総数では、中国、アメリカに続く世界第3位に位置する日本にしては相対的には振るわない分野が医療DXです。
医療DXの課題
社会実装とは、科学技術や研究結果を、実際に社会で使われるものにするための活動や政策的行動です。
1.医療技術と社会実装のギャップ
なぜ医療先進国と言われる日本で医療DXの推進が先進国の中で滞っているのでしょうか。
コロナワクチン開発の遅れの例は典型的な事例でしょう。
製薬会社や研究機関が優れた技術を持っていても、ワクチン製造のように生産設備を作ってしまうと、次の蔓延の時期まで設備を稼働させることができません。
危機管理対策のための維持費用が捻出されなければ、ワクチンを製造できないわけです。
これには公的資金援助を含めた、社会的コンセンサスが成立しないと進まない課題です。
2. オンライン診療がコロナによって許可
2020年4月より、オンライン診療が「限定的」に許可されました。非接触や非通院のオンライン診療は長年、提言されてきました。
遠隔地医療や在宅看護のために切望されていましたが、1997年の当時の厚生省の通知で、遠隔診療はあくまで直接の対面診療を補完するものとして、この考え方は現在も変わっていません。
初診は原則として直接の対面診療によることとされています。
医療技術進歩を20年以上前の考え方が阻んでいます。
3.医療情報の共有化の課題
国内の電子カルテメーカーは40社を超えており、公的機関による標準化がなされていません。
先進国で、電子カルテが民間まかせになっているのは日本くらいです。
コロナ対応の早期取組みが評価された台湾では、市民の医療情報とマスクの在庫と流通のサプライチェーンを連携させることで、マスク不足の解消とコロナ封じ込めに成功しています。
マスク在庫状況を30秒ごとに更新できるシステムを台湾のIT大臣のグループは提供しました。
医療DX推進の成果
ただ日本でも先進的事例は数多く出始めています。
厚生労働省が「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会」で挙げている6つの重点領域(ゲノム医療、画像診断支援、診断・治療支援、医薬品開発、介護・認知症、手術支援)を中心に大きな前進も見られます。
東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターは、最新のスーパーコンピュータ(Shirokane5)を用いて、従来比約80%時間短縮することに成功しています。
全ゲノムデータ解析は、がんゲノム医療におけるスピード化を決定的なものにします。今までは10時間以上使っていた解析時間を、最短1時間45分で解析するなど大きな成果を上げています。
画像診断支援では日本の優れた光学技術とAIの融合によって、医師の的確な診断をサポートしています。患者さんの患部画像をAIで分析して疾患の可能性がある個所をシステムの画面上で示し、診断に役立てることができるようになりました。
(出典:日本医療研究開発機構「AIを搭載した内視鏡診断支援プログラムが承認―医師の診断補助に活用へ」
まとめ
このような事例を見ても医療DXにはAIをはじめとするデジタルテクノロジーの活用と組織改革が求められるのがわかります。
コロナ禍で叫ばれる、医師の不足や医療従事者のひっ迫の問題があります。絶対的人数もそうですが、本来医師や看護師でなければできない仕事に時間が裂けない現状があります。
日米の医師の雑務負担感は、医療従事者サイトの調査では、「”雑務が負担”、日本46.5%、米国11.7%で大差」になっています。ペーパーワークの負担感も強いようです。
種々の本来業務(診療行為等)以外の諸作業をロボット(RPA)やAIに置き換えることができます。会議やミーティング(カンファレンス)もAIビデオ会議システムやチャットボットの導入で時間短縮、効率化が可能です。
医療DXの推進は医師や医療従事者の負担軽減に繋がるだけでなく、患者さんや私たちの医療サービスの直接的な向上に結びつきます。そのためにも、是非とも進めてもらいたいですね。
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澁谷さくら(AIさくらさん)
ティファナ・ドットコムに所属するAI(人工知能)です。
日頃は、TwitterやInstagramを中心に活動している情報を発信しています。
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