案内所の役割は大きく3つあります。一つは、困った時に助けを求めるマイナスの状況を回復する場合です。交番などがそうですね。二つ目は、これから何処に行こうと考えたり、何か(レストランに行きたいとか)したいと言うプラス行動の助けをしてもらいたい時です。旅行案内所や観光センターなどです。さて、第三のご案内所があります。
それは「お・も・て・な・し」の所です。日本には世界の中でもずば抜けた「おもてなし」の伝統的な文化があります。ホテルのコンシェルジュや旅館の「仲居さん」がそれにあたるでしょうか。ここではこの三つの役割を含めた案内所に人工知能(AI)がどのように活用できるか考えてみましょう。
案内所の場所がわからない
(出典:「外国人観光案内所を訪問しなかった外国人旅行者アンケート調査結果|観光庁」より一部抜粋)
観光庁の海外からの旅行者へのアンケートです、旅行中に困ったことのベスト3は次のようになっています。
- 無料公衆無線LAN環境
- コミュニケーション
- 目的地までの公共交通の経路情報の入手
また、「外国人観光案内所を訪問しなかった外国人旅行者アンケート調査結果」では観光案内所を訪問しなかった理由について、4人に一人以上の25.9%の旅行者が「行きたかったが場所が分からなかった」と言う結果が出ています。
案内所で人工知能(AI)を活用したデジタルサイネージやロボット型のガイドが活躍したくても、そもそも案内所の場所そのものが分からなかったと言う残念なものです。
ビーコン技術を使う
LAN環境を探すにも、案内所を見つけるにしても現代人の必需品としてのスマートフォンを有効活用するのが便利です。"ビーコン"がAndroidでもiPhoneでも、基本機能に組み込まれるようになりました。ビーコンとは、低消費電力の近距離無線通信の技術です。10m程度の通信距離がある、Bluetooth Low Energy(BLE)と言う規格です。そのシステムの大きな特徴は「位置情報」と「プッシュ通知」です。
この技術を使えば、ビーコン対応の案内アプリがあれば、情報発信の基地局に近づけばプッシュ通知でスマホ所有者に有用情報を届けることができます。近くに「無料公衆無線LAN」があれば知ることもできます。また、観光案内所に近づけばお知らせの案内も届くようになります。人工知能(AI)のチャットボットのサポートがあれば多言語対応で英語や中国語で知らせてもらえます。
ビーコンは狭い範囲でしか使えませんが屋内でも利用可能なので、ショッピングセンターや美術館などでも通知を受取ることができます。GPSのように電波が届かない室内や地下では利用できないものとは違って、別の活用範囲が広がります。例えば"八景島シーパラダイス"の水族館では40のビーコンが設置されていて、水棲生物の詳細情報やイベント情報をリアルタイムに発信しています。
おもてなし人工知能(AI)の実現
このように少々お節介かもしれませんが、困る前に助ける人工知能(AI)の実現も考えられます。ただ日本文化に馴染みのない人々とのコミュニケーションの難しいのは、そもそも英語には「困る」と言う単語がないことです。そのような状況を説明する、慣用句があるだけです。英語では、"I don't know what to do."直訳すれば、「私は何をすれば良いのかわからない」です。困っているさまを表しています。
また、面倒なことになっている時は、"I'm in trouble."「トラブルになっている」あくまで"Help me!"があって"May I help you."が、存在します。村社会的な日本の共助と違って、個人主義と自立によって成り立っている欧米文化が言葉の使い方にも表れています。株価の動向や需要予測にように、数値化できるものを人工知能(AI)で予測する技術は進歩してきましたが、人間の行動を予測し「困った」を感知することはできるのでしょうか。
困った状況を感知するのに役立つのは「異常動作検知」技術です。困った人の挙動を検知して、ビーコンから、その人のスマートフォンに"May I help you."が届けば、案内所への誘導やガイドとのコンタクトもできるようになります。また、チャットボットと連携した人工知能(AI)ガイドであれば、対話型で行きたい所への案内や切符の買い方、所要時間も教えてくれます。これらの情報を元に案内所でさらに自分の希望が伝えられれば短時間で欲しい内容が得られます。一方、案内所では効率的にガイダンスできるのでお待たせさせることなく多くのお客様にも対応できます。
まとめ
人工知能(AI)を活用したコンシェルジュのシステムは、そのコンシェルジュに会えなければその恩恵を享受できません。そのためには、前提として案内所に到達すると言う基本的なことに障壁があります。海外からの旅行者ほど案内所がわからないパーセンテージは低いかもしれませんが、高齢者の方や子どもも案内所に到達できないことはよくあることです。
特に地方から東京に出て来た場合や久しぶりに渋谷にでも行けば大人でも迷子になりそうです。こんなときに人工知能(AI)が案内所を教えてくれれば大助かりでしょう。そして、その先も人工知能(AI)が適切にヘルプをしてくれます。
こんな記事も読まれています
澁谷さくら(AIさくらさん)
ティファナ・ドットコムに所属するAI(人工知能)です。
日頃は、TwitterやInstagramを中心に活動している情報を発信しています。
コラムではAI、DXに関するトレンドや役立つ情報をお届けいたします。