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自動運転の「なぜ」を考える〜AIは自動運転をどこまで進化させるか

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働き方改革

2019年04月03日

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「自動運転」と言う呼び方が物議を醸し出しています。
ユーザーや一般市民に誤解を与えそうだと言うことで、行政もメーカーも正確な定義に動き出しました。それぞれの呼称は人工知能(AI)のレベルと直接結びつくもので、人工知能(AI)の発展によってはさらに呼称も変わるかもしれません。
本コラムでは現段階での「自動運転」のレベルと人工知能(AI)の関わりを整理しながら、そもそも「なぜ」自動運転が求められているのかを解説してゆきます。

自動運転の定義

自動運転の定義は何も日本政府が決めた訳ではなく、アメリカに1905年にできた、SAE(Society of Automotive Engineers)と言う団体の基準に準拠しています。
SAEは、自力動力により動くビークル(乗物、輸送機器)すべての技術に関する標準化機構です。これには自動車だけでなく船や航空機までが含まれます。自動車そのもの工学的定義はSAEなどの標準化機構に負うところが大きですが、社会的定義は法律によって国によって定められています。

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(出典:「自動運転レベルの定義の概要」首相官邸より、一部抜粋)

主要メーカーの自動運転の到達点

自動車メーカーは言うに及ばず、スタートアップ企業も含めて自動運転のテクノロジーはどこまで進んでいるのでしょうか。2019年に話題になりそうな事柄を少し整理してみましょう。

【トヨタ】

トヨタの自動運転への取り組みは、「完全自動運転」を目指すところにあります。そして、「なぜ」自動運転を開発するのかのビジョンが明確になっています。
そのコンセプトは次の3つに集約されています。

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(出典:「トヨタ | 自動運転技術」トヨタ自動車より一部抜粋)
ホームページなどでトヨタは明確に「自動運転技術により、高齢者や体の不自由な人を含むすべての人が安全、スムース、自由に移動できる社会をめざします。」と打ち出しています。

【日産】

自動運転をいち早く打ち出し、技術の先進性のイメージを確立したのは日産でした。日産はクルマの運転の自動化技術を開発するだけでなくその先で必要になることも検討しています。
日本は「おもてなし」や「気づかい」の国として世界的に有名なだけでなく、運転マナーや交通マナーの進んだ国としても驚かれています。
車線変更でクルマを前に入れてもらった時に、後続車に「ありがとう」の意思表示をするために短くハザードランプを点灯させたり、横断歩道で歩行者がクルマに向かって会釈する姿は海外の人たちを驚かせています。
日産はクルマと歩行者、自転車とのコミュニケーション手段の検討も始めているところにも先進性があります。

【ホンダ】

ホンダは流石にF1メーカーであると同時にモータースポーツのイニシアチブを取っているメーカーだけあって、自動運転に対するビジョンは次のようになっています。
「すべての人に事故ゼロと自由な移動の喜びを」(出典:ホンダホームページより)
ホンダは二足歩行を実用化にした人型ロボットASIMOの開発、小型ジェットの開発、そして自動走行バイクなど、最新技術で新しい分野を開拓して来た"The power of dreams."を信念とする世界的エンジニアリングメーカーです。
「夢の力」と言う、何ともロマンチックな会社です。ロボット開発から得られた様々なセンシング技術が、自動運転の基礎を作っています。
「ホンダセンシング」と呼ばれる2014年に発表された安全運転支援システム(レベル2相当)搭載者がアメリカでは既に100万台を突破しているのは驚くべきことです。
AIテクノロジーは学習データ無くして進歩しません。そのデータ収集の基盤が既にホンダは持っているわけです。そして、そのビッグデータを解析するのが世界一得意なAIメーカー〜Googleと提携したのです。


【ダイムラー(ベンツ)】

メルセデス・ベンツで有名な総合な自動車メーカーであり、世界最大の販売台数を誇るトラックメーカーでもあります。ベンツの自動運転はヨーロッパでも先進的であり、人とのコミュニケーションを日産とはまた変わった形で追及しています。
自動走行中のベンツを色や光で歩行者や周りのクルマに示し、交通環境の中での親和性を追及しています。


【BMW】

バイクでも自動運転を実現しているBMWはベンツ並ぶドイツの大手自動車メーカーです。BMWの自動運転の技術は他者に勝るとも劣らない優れたものを持っています。
BMWでは「運転支援テクノロジー」としてBMW Personal CoPilotとしてそのコンセプトをまとめています。その特徴は技術的な積み重ねの上に何かを提供しようとするアプローチではなく、「未来」のビジジョンから現在必要とされるテクノロジーを具現化しているところに大きなポイントがあります。
一番わかりやすい表現は企業の「顔」と言えるホームページで自動運転によって実現できる疑似体験を提供していることです。詳細はBMWのコンセプトビデオに譲るとして、大まかな内容だけ提供しておきましょう。
このコンセプトビデオは現在のクルマとBMWが近未来に提供しようとしているクルマが「何を」「いつ」「どこで」「誰に」提供できるかを示しています。運転中に起こるさまざまシーンに合わせて人工知能(AI)がどう人を支援していけるかを映像化しています。
例えば、よくある運転中にスマートフォンにメールが着信しドライバーがスマートフォンの操作をしようとすると・・・従来的な発想であれば「音声対応」や「ジェスチャー」機能でドライバーをアシストするかと思いきや・・・クルマがシームレスに運転を代わり、クルージングが継続されることです。一見この自然に見える行動はテクノロジー的には非常に高度なものが盛り込まれています。それはクルマが常にドライバー(同乗者)をウオッチしていて行動予測をしている点です。外界との関係性を予測して人工知能(AI)が最適な方法を選択しています、人がいちいち指示を出さなくても人工知能(AI)が最適解を実行する姿は単なる「自動走行」ではなく正に「自動運転」と言えるでしょう。


【Google】

今までは自動車メーカーの側から自動運転のアプローチを見てきました。ここからは人工知能(AI)の開発側から自動運転を少し見てみましょう。
前出のホンダと提携をしたGoogle(実際の提携はGoogleの子会社である「Waymo:ウェイモ」)の動きはAI業界では常に注目の的です。それは高度な画像認識技術と検索エンジンから得られるビッグデータに他なりません。
Google側からすれば「頭」はあっても「体」がないので、どこかの自動車メーカーとの提携が必須です。できれば自動車だけでなく航空機もロボットも作っているようなメーカー・・・。と言うことになります。


【Apple】

今や世界最大のコンピューターメーカーとなったAppleも自動運転の世界に参入しています。
AppleもGoogleと同様に「頭」はあっても「体」がないので、自動メーカーの協力が必要です。
そこで白羽の矢を立てたのが売り上げ世界第2位(約29兆円)の自動車メーカーVW でした。
自動運転車のテクノロジーに占めるICTの割合は現在が10%程度と言われていますが、完全自動運転車では60%以上と言われます。AppleとGoogleの最も大きな違いはAppleはハードウェアとソフトウェア(OS)を「一体」で作っていると言うことです。自動車のソフトウェア部分も一体化されていますのでAppleのノウハウは最適と言えるでしょう。
また、アップルはスティーブ・ジョブズの時代からビジョン駆動型の企業ですから自動運転車の開発に向いているかもしれません。ただ、昔のMacintoshのように「爆弾マーク」(以前のMacintoshはフリーズするとWindowsのようにブルースクリーンになるのではなく顔しかめたアイコンがでました)が出ないことを祈るばかりです。

AIとともに社会の進化

自動運転が求められている背景を考える必要があります。技術先行型になってしまうとかつてのカシオ対シャープの「電卓戦争」のようになってしまいます。
技術先行型になり過ぎるとスペック競争に陥り、オーバースペックでユーザー不在になる場合があります。
かつて世界最薄でローパワーソーラー電卓が開発されました。厚さ1mmの電卓やロウソク1本の光で駆動するソーラー電卓など誰が使うのでしょうか。
ロウソクを灯した薄暗い部屋でペラペラの電卓家計簿をつける主婦(主夫)の姿は想像しただけで滑稽ですね。
自動運転も「なぜ」それが求められるのかを考えなければなりません。
よくある意見で「高齢者のブレーキとアクセルの踏み間違い」の自動制御や「高速道路の逆走」防止などがあります。これなどは、自動運転の課題ではなく、そもそも論としてそのような運転者を生み出している社会システムの問題です。
公共交通機関の未成熟による高齢者が運転せざるを得ない状況や道路システムの問題に本質的問題があります。
人工知能(AI)の進化によって、そのような別次元の問題がすり替えられることがあってはならないでしょう。
自動運転の求められる背景には色々ありますが、大まかには次のようなものがあります。

【社会システム】

・歩行者運転者の保護
・渋滞緩和
・都市交通システム
・過疎僻地交通システム

【経済的問題】
・自動車産業の新規需要開拓
・民間資金の導入
・世界市場での商品力強化(とりわけクルマの商品価値向上)

【国際的競争力の強化】
・ AI先進国となるべく覇権争い
・多国籍企業間提携の追及
・CO2排出規制を含めた環境問題対応

まとめ

自動運転がなぜ注目されているのかを色々な角度から考えてみました。そのコアなテクノロジーは 人工知能(AI)であることは間違いありません。
この自動運転から派生されるものはテクノロジーに限らず、社会システムや法律、文化に至るまで大きな問題提起を人類にしています。
自動運転を考える時に、その根本にある「なぜ?」を考えるとより 人工知能(AI)の必要性も見えてくるでしょう。

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