「モノ消費」よりも心に残る「コト消費」が広がる理由は?

「モノ消費」「コト消費」って、ご存じですか?
これらの言葉自体はずいぶん前からあったのですが、昨今、特に話題になることが増えています。
今、「モノ消費」から「コト消費」への移り変わりが激しくなっているそうです。

モノ消費・コト消費とは?

「モノ消費」は、読んで字のごとく、モノ(商品やサービス)のスペック・機能などに価値を感じて利用すること。
たとえば、「吸引力が落ちない掃除機」とか、「バッテリーが何日ももつスマホ」のように、そのモノが持っている客観的に判断ができるチカラのことです。

一方、「コト消費」は、商品やサービスの機能などではなく、それを使うことによって得られる経験や体験に価値を見出すこと。
たとえば、「温泉に行って気持ちいい思いをする」とか、「留学して海外でのリアルな生活を体験する」など、モノではなく、カタチには残らないコトに対して価値を見出すことを指しています。

なぜ「コト消費」の価値が高まっているのか

ひとつ背景として言われているのは、「欲しいものはだいたい手に入れられるようになった」というように、現代人は物質的に満たされているため、これ以上はお金を払って物欲を満たすことよりも、精神的な豊かさを求めるようになったと言われています。

この傾向はもう数年前から始まっており、2015年にJR東日本企画が実施した調査によると、以下のような結果が出ていました。

・「欲しいモノがパッと思い浮かばない・即答できない」・・・「あてはまる」と回答した人が50.1%
・「家にモノが溢れていてこれ以上持ち物を増やしたくない」・・・「あてはまる」と回答した人が52.1%
・「欲しいモノはあるが今すぐに買いたいとは思わない」・・・「あてはまる」と回答した人が69.3%
・「欲しいモノはあるがそれを買うために金欠にはなりたくない」・・・「あてはまる」と回答した人が76.0%

上記の結果を見ると、モノへの欲求が下がっていることが読み取れます。

また、以下の回答を見ると、コト消費のニーズが高まっていることが分かります。

・「習い事・資格取得・留学など、学びにお金を費やすのは有益だと思う」・・・「あてはまる」と回答した人が72.6%
・「マッサージ・エステ・ジムなど、体のメンテナンスにお金を費やすのは有益だと思う」・・・「あてはまる」と回答した人が62.6%

モノよりコトが欲しい理由については、「どんな価値観に基づく経験・体験(コト)か?」というアンケートで、以下の3項目が上位となっていた。

・蓄積志向 (思い出として残り、後々まで楽しめそうな経験・体験)
・共有志向 (家族・友人など周囲の人と喜びや楽しさを共有できる経験・体験)
・現在志向 (その時しかできない・その時することに意味がある経験・体験)

(定量調査:jeki「普段の生活に関するアンケート調査」1都3県在住の18-54歳男女、サンプル数:18-34歳 900s 35-54歳 200s)

コロナによって変わりゆく価値観と生活スタイル

先に述べたように、何年も前から「モノ消費」から「コト消費」への移行が始まっていますが、今後も「コト消費」の価値は高まり続けるでしょう。

昨今のコロナ禍を機会に世の中の価値観も大きく様変わりしています。
コロナ流行以前には当たり前だったことも、アフターコロナでは興味すら湧かなくなっているといったことも起こります。
その背景にあるのは、コロナウイルスによって、身近な人や国民の誰もが知っているような有名人が突然亡くなってしまったことなどが大きく影響していると言えるでしょう。そういった生々しい事象を目の当たりにし、他人事ではなく自分にも起こり得ることだということを実感したことで、たとえばライブなどのようなその時にその場でしか見られないものに価値を感じるようになる人が激増し、「モノ」ではなく「コト」の価値が一気に高まるのではないでしょうか。

そして、価値観だけでなく、コロナによって日常の生活様式も変わっています。
たとえば、30代の男性会社員Aさんは、ずっとコンタクトレンズ派でしたが、コロナを機にメガネ派に移行したそうです。理由は、「わざわざコンタクトを消毒するのが急に面倒になった。手の消毒が手一杯で目までかまっていられない。外出自粛によりルックスを気にする必要もなくなり、いちいち眼科へ処方箋を取りに行くのもリスクがある。」ということでした。

また、20代の女性会社員Bさんは、「メイクにかける時間が圧倒的に減って楽になった。家ではずっとすっぴんだし、外出時もマスクをするので、眉毛を引いて目尻のみアイライン。」だそうです。
(マネーポストより https://www.moneypost.jp/654918/2/

この2人のように、価値観だけでなく人々の生活スタイル自体も変化を見せており、これは本人だけでなく、これに関わる業界の消費にも大きな影響があります。

AIはモノ消費?コト消費?

今回のテーマについて考えていたときに、ふと、今後世の中に広がっていくであろうAIも、「モノ消費」「コト消費」とリンクするなと思いました。
AI自体は、ロボットのようにモノとして存在するAIもあれば、業務効率化や人手不足解消だけでなく今までには得られなかったような体験を提供する「コト」にあたるものもあります。(「モノ」にあたるようなAIの活用事例はこちらの記事でご覧いただけます)

そして、今後は「モノ消費」から「コト消費」への移行にともない、仕事への時間のかけ方も変わっていくと思われます。「AIに仕事を奪われる」という考えではなく、「もうこうなったらAIでできるものはどんどんやってもらって仕事を早く終わらせ、コト消費体験に使える時間を増やしたいという人が増えることでしょう。

AIは人の生活を支え豊かにするものなので、仕事でも人を支え、さらにコト消費をより充実したものにしてくれるのだと思います。
機会があれば、みなさんのやってみたい「コト消費」も聞いてみたいです。