「人工知能」に「AI」、ここ1年程で盛んにニュースや紙面に取り上げられるようになった単語ですが、ちゃんとどのようなものなのか理解できていますか?
\私はよく分かっていません!/(元気なお返事)
ということで、今回のコラムでは、この「人工知能」や「AI」について私と一緒に理解を深めていただければなと思います。
「いやいや、これの違いなんてちゃんと分っているし…」と思っている方、ブラウザバックする前にほんの3分だけでもお付き合いくださいよ。
もしかしたら、今まで勘違いして覚えていたことを正すことができるかもしれませんよ。

1.みんな「人工知能、AI」ってどんなものだと思っているのだろう?

まずは「人工知能、AI」と聞いた時、何を想像するか確認してみましょう。
「人工知能、AI」と聞いたとき、皆さんはどんなものを想像しますか?
ここにちょうど、全国の20~60代の男女357名を対象に「「人工知能、AI」とはどんなものか?」をアンケートした結果があるので回答を見てみると、以下のような認識をしている方が多いということが分かってきます。

(※複数回答可)
・自分で学習するシステムのこと…59%
・ロボットのこと…50%
・仕事を効率化するツールやシステムのこと…19%
・便利な家電のこと…11%
・インターンのこと…11%
・人工的に作られたクローンのこと…8%
・世界中を繋ぐ通信システムのこと…7%
・スマートフォンのこと…6%
・宇宙開発の最新技術のこと…4%
(出典元:株式会社アドフレックス・コミュニケーションズ「あなたの認識は合っている? 今更聞けないAI(人工知能)の認識/イメージ調査」)

ちょっと察しの良い方なら、下位になればなるほど「人工知能、AI」と呼ぶには難しい事柄に対しても、「これは「人工知能、AI」である」というイメージを抱いている人がいるということが分かりますね。
更に、具体的に「人工知能、AI」が使われている製品を挙げてもらうと、次のような回答が得られたそうです。

(※複数回答可)
・スマートフォン…46%
・自動車…42%
・スピーカー…38%
・パソコン…35%
・エアコン…32%
・掃除機…19%
・冷蔵庫…17%
・テレビ…17%
・照明…14%
・洗濯機…12%
・インターフォン…11%
・ビデオ、カメラ…9%
・風呂給湯器…9%
・鍵…7%
・トイレ…4%
(出典元:株式会社アドフレックス・コミュニケーションズ「あなたの認識は合っている? 今更聞けないAI(人工知能)の認識/イメージ調査」)

「「人工知能、AI」が使われている製品」として回答されたこれらの製品は、テレビCMなどで大手の企業が自社製品に「人工知能、AI」を搭載していることを繰り返しアピールしているため、意識して視聴していなくても記憶の刷り込まれていった結果だと推測できますね。
(マイナスイオンとかよく分かんないけど、とりあえず入ってる方を選んだ方が良いよね的な…。ちゃんと理解できていないけど、ないに越したことはないから買っておこう…みたいな…。)
そのため、「人工知能、AI」とは何かを理解しないまま、「あの製品には人工知能、AIが使われている」=「あの製品は人工知能、AI」という認識になり、「便利な家電のこと」「スマートフォンのこと」等の回答に繋がっているという関係を表す結果になったのだと考えられます。
更に、ターミネーターやアイアンマン、ドラえもんなどSF作品に登場する「生命体でないものが人間と同じように、自らの判断し、状況に応じた対応を行っていく(ように見える)」「システムと人間が口頭によるコミュニケーションを行える(ように見える)」というような描写により、ロボットやパソコンにも人工知能がデフォルトで使われているという認識に繋がっているとも考えられます。
更に、下位の回答に現れる「鍵」や「ビデオ、カメラ」などは、「外部から遠隔で操作できる」「スマートフォンで操作できる」といったIoT技術と認識を混合している可能性が非常に高いですね。
というところで、世間一般の「人工知能、AI」への認識を一言でまとめると、「ほぼ大多数が「人工知能、AI」という存在に対して期待値が高すぎる勘違いを起こしている」と言っても過言ではありません。目を覚ましてください。技術に夢を見すぎです。

2.実際の「人工知能、AI」とはどういったもの?

では、実際の「人工知能、AI」とはどういったものなのでしょうか?
なんと、そもそも「人工知能、AI」の定義は専門家によっても異なる非常に曖昧なものであり、”これ”と明確に決まっていないのです。今回は、東京大学松尾豊教授が唱える

「人工的につくられた人間のような知能、ないしはそれをつくる技術。人間のように知的であるとは、「気づくことのできる」コンピュータ、つまり、データの中から特微量を生成し現象をモデル化することのできるコンピュータという意味である」(出典元:松尾豊「人工知能は人間を超えるか」)

という説を採用して説明を行こうと思います。
めっちゃ分かりやすい説明ですね。さすが第一人者です。
現在、「人工知能、AI」は大まかにいうと「弱いAI(特化型人工知能)」と「強いAI(汎用人工知能)」の2種類が存在しています。
「弱いAI(特化型人工知能)」は、従来研究が進められていた「ひとつのことだけに特化した人工知能」「与えられた膨大な量の事前データをインプットし、教えられた処理を行う人工知能」のことを指します。
例えば、数年前にプロの棋士に完全勝利を果たしたAlphaGo(アルファ碁)は、事前にプログラムされた評価関数を使って対戦相手の手を判断、先読みし、自分の勝率が最も高くなる最善の手を選択するという処理を繰り返し行い、対局を進めているのです。実際の生活に身近な製品で言えば、ルンバやpepperといったすっかりお馴染みの名前を上げることができます。
「強いAI(汎用人工知能)」は、「人間と同レベルないしそれ以上に様々な知識を持ち、且つ自意識を合わせ持つ人工知能」「未知の状況で自ら適切な回答を導き出せる人工知能」とまさに世間一般の方が思い描くSF作品に登場するような存在のことを指しています。現在、盛んに研究が行われているのはこちらです。
残念ながら実用に至っている強いAIはまだ開発されていませんが、この強いAIが完成した時、シンギュラリティ(技術特異点)が発生するのではと予想されています。
シンギュラリティ(技術特異点)とは、人工知能やAIの進歩が続いた結果、作り手である人間の知性を凌駕して発生する、人間の生活へなにかしらの影響を与える事象を指しています。
つまり、映画みたいに労働は全部人工知能が行ったり、逆に人工知能が人間に反逆を起こして覇権を握る…というようなことが起こるかもしれないということです。

3.いきなり漫画みたいな人工知能が開発されることはないので、まずは理解を深めましょう。

「「人工知能、AI」と皆が口にする時代になったけれども、ちゃんとどんなものなのか理解しているのかな?」で書き始めた記事でしたが、やはりイメージだけが先行してしまっているのが現状のようです。
「ほへー、AIって2種類あって、何でもできるわけじゃないんだー」を覚えて行ってもらえますと幸いです。そうです。だいぶ研究が進み、開発用の環境を整える企業が増えてきましたが、思い描くような万能の人工知能、AIがすでにできあがっているということはないのです。
技術の進歩は日進月歩。一足飛びで夢みたいななんでもできる人工知能ができあがるということはないのです。
その前に、まずは広く様々な人が「人工知能」や「AI」に対する理解を深めておかないと、いざ生活に人工知能を取り入れようとしたときにイメージとの乖離に苦労することになると思います。
技術に夢を見るのは浪漫がありますが、それはそれとして自分たちが活用しようとしている技術を理解することの方が重要ではないのでしょうか。
というところで今回の記事を〆させていただこうと思います。
次回はもうちょっとまともな記事を書けますよーに!