今回は、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)のうちのひとつ、「貧困をなくそう」という目標がテーマです。
SDGsの前身であるMDGs(ミレニアム開発目標)の中でも、最も重要な目標のひとつとして考えられてきた世界的な経済格差や貧困問題ですが、MDGsの達成期限年である2015年の最終報告書の中では、極度の貧困(1日1.25米ドル未満で生活)で暮らす人の数を15年間で19億人から8億3,600万人まで減らすことができたものの、極度の貧困環境に身を置く人々の80%が南アジアもしくはサハラ以南アフリカで暮らしているという事実が浮き彫りとなり、国や地域における経済格差という問題を浮き彫りにしました。
サハラ以南のサブサハラ諸国は現在49か国、2015年時点での全体人口はおよそ10億人と言われており、そのうちの4億人が貧困ラインと言われる中で生活をしています。
アフリカの貧困は、教育制度や医療インフラが行き届かない、内戦やテロのリスク、慢性化した汚職など、様々な原因が挙げられますが、先進国と比較すると金融インフラが整備されておらず、銀行口座普及率は2割を下回る国も見られます。
こうした環境的・文化的背景から、貧困や経済格差は簡単に解決できない問題と言われています。
しかし、MDGs当時と2020年現在で大きく異なるのは、金融サービステクノロジー(Fintech:フィンテック)が発達しているという点です。
テクノロジーの力が、国・地域の貧困問題に対して、少しずつ変化を与えているようです。

すべての人を金融サービスへアクセス可能にする『金融包摂』

「金融包摂」(きんゆうほうせつ)とは、Financial Inclusionの訳で、あらゆる金融サービスをすべての人が享受できるようにする取り組みの事です。
経済活動から隔離されてしまった人たちに対しても、ブロックチェーンなどFintechのテクノロジーを使って、銀行口座を持っていない人に送金したり、新興国の中小企業などへの融資を行うことができます。

Fintechが途上国で発展する理由・・1位は中国、2位はアフリカ

こうしたテクノロジーの発展は先進国内だけの話のように思えますが、実はFintechの世界1位は中国で、普及率は84%です。
中国の電子決済は国策としての取り組みでしたが、もともと紙幣価値が低いことも相まって、諸外国と比較しても爆発的なスピードでにQRコードによる電子決済が普及しました。
その影響はアフリカ諸国にも波及し、Fintechが経済成長を後押しするという期待の声も高まっています。

アフリカでFintechが発達する理由

銀行口座を持っていない貧困層が多い

前述の通り、アフリカで銀行口座を持っている人は2割~3割程度にとどまり、預金・送金をしたくても、社会的信用度の低い農村地帯に暮らす人々が銀行口座を作ることは難しい状況下にあります。
そこで、銀行口座を持つことができない人々が送金や決済の必要に迫られたときの手段として、デジタルウォレットやプリペイド式の送金技術が普及したと言われています。

現金を持ち歩くリスクが高い

現金を持つことによって、盗難・略奪のリスクにさらされることも要因として挙げられます。治安の悪い地域に住んでいても、電子マネーであれば現金を持ち歩く必要がなく、安心して消費行動を行うことができます。

モバイル端末の普及率が高い

アフリカはモバイル端末の普及率が100%とも言われるほど、固定電話よりも圧倒的に携帯電話(フィーチャーフォン)の利用者が多いという特徴があります。
水道・電気などのライフラインですら整備されていない地域の多いアフリカでは、各家庭に電話線が敷かれるケースが少なく、かつ固定電話と比較してもネットワークの整備や維持コストが携帯電話のほうが低かった事などが指摘されています。
こうした事情から、人々が普段から当たり前のように使う携帯端末で決済を行うことは、ごく自然に普及していったのです。

アフリカで広がるFintechサービス

携帯電話で簡単に送金『M-PESA』

「M-PESA」(エムペサ)とは、携帯電話から送金・支払・出金までできる電子マネーサービスです。
ケニアではこのM-PESAが大流行しており、国内の加盟店およそ7万店で利用することができます。公共料金の支払いや、日々のお買い物、給料の支払いまでこのM-PESAで行われることがスタンダードとなっています。
日本では2019年がキャッシュレス元年とまで言われましたが、いちはやく普及していたアフリカは「キャッシュレス先進国」と言っても過言ではないでしょう。

信用が低くても融資を受けられる共済制度『SAVE』

ルワンダのスタートアップ企業EXUUS社は、SAVEという共済サービスの提供を行っています。
SAVEは、主に社会的信用度の低い農村地帯にすむ人々をターゲットとし、各村ごとの共済グループで貯蓄した資金の中から、必要に応じて融資を受けられるというサービスです。

現在アフリカの農村部では各村に定期預金型の共同グループが複数存在し、グループ毎にメンバーが一つの箱に現金を共同で貯蓄する仕組みが普及している。毎週決まった時間に決まった場所に集まり、約300〜1000円を現金で貯蓄する。
もしメンバーが農地拡大や肥料の購入等を目的として、その貯蓄からローンを借りたいと申し出た場合は他グループメンバーの承認を受けてその貯蓄の中からローンを借り、利子をつけて返済するという仕組みだ。現在ルワンダ国内だけでも3万6571グループが存在し、1グループにつき平均10〜30人が加入している。

(引用:アフリカ金融革命—-銀行口座を持たない10億人の農民にいま起きていること

テクノロジーの力で現実味を帯びてきたSDGs達成

もはや先進国だけのものではなくなってきたFintechですが、来る2020年に向けてさらに発展を遂げることを期待しています。