教育の未来を明るくしてくれるAIについて、時代とともに変わる教育への対応を
教職員の支援をしてくれるAIの活用方法として整理します。

「教育」の意味を考え、AIの得意分野と教師の得意分野を整理しながら教育業界へのAIの関わり方を考えます。
また留学生への対応にもAIがどのようなシーンで役立つか事例も見てみましょう。

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教育の意味と語源~「教×育」

そもそも教育とは何でしょうか?

「教育はどうあるべきか」や「教育の本質」論については時代とともに変化もしますので、
教育学者や現場の教師にその弁を譲るとして、シンプルに教育の言葉の持つ意味を考えてみましょう。

教育はその字のごとく「教えること」と「育むこと」(育てるのではないことに注意)の融合です。
掛け算的に相乗効果を考えるとイメージがより持てると思います。
この「教育」には二律背反する内容含んでいます。
「教」は外的な要因によって人間にはたらきかける行為です。
「育」は育むわけなので人間の内的な要因、自発によって達成されるものです。

欧米の「教育」の概念はその語源からして日本語と若干違っています。
それは欧米の方が自発性に重点が置かれている点です。
欧米の語源・語義から考えると英語の”education”や”フランス語の”?ducation”は、
ラテン語のeducare(引き出す、誘い出す)という語に由来することから、
人間の内面の可能性を導き出すことに本来的な意味を与えています。

教えることの得意なAI

AIの強みは常に与えられた問題を検索エンジンの”Google”のような正確さで
的確に答え続ける事ができる、圧倒的な速さと回答能力の持続力です。
知識を正確に教えることが非常に得意です。
ミススペルや言い間違いについてはディープラーニング(深層学習)によって誤りを正し
絶えず修正して精度を上げて行きます。

また、大量の学習者のデータから学習者が解けない問題の予測を行えるようにすることによって、
ひとりひとりの学習者がおちこぼれないように問題設定することが可能です。
漢字の書き順や「とめ」「はね」の指摘や修正は書画カメラと筆順データの画像処理で
指摘も正答率も瞬時に道にき出せます。熟練の書道教師でも難しい個別指導です。
学習効果の測定も学習者の到達点評価(絶対評価)だけでなくクラスや社内での相対評価やクラスター分析もこなしてくれます。

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育むことの苦手なAI

AIの教育への活用で考えなければならない点は、現在のAIでは自ら問題を定義し、
解決することは出来ないという点です。
学習者の個性を判断して最適な回答問題を準備することまでが到達点です。

「この子は国語は得意だけど算数が不得意なので
算数の文章題を中心に練習問題を解かせれば学力が全体として伸びる」と言うような判断は
人間の教師がして、どのような練習問題が適切かはAI教師がやる・・・そのような分担が必要です。

AIが「育む」が苦手な理由は、次の辞典の意味を見て観るとよくわかります。

【育てる】

  1. 生物が一人前になるまでの過程をうまく進むように助け導く。生きものがおいたつようにする。成長させる。養育する。
  2. 能力などをのばすように教え導く。しこむ。しつける。
  3. 相手に調子を合わせててなずける。おだてる。そそのかす。のせる。

【育む】

  1. 親鳥がひな鳥を羽でおおい包む。
  2. 養い育てる。養育する。また、世話をする。面倒を見る。
  3. いつくしみ大切に扱う。かわいがる。
  4. いたわり守る。かばう。保護して、それを伸長させる。

(出典:小学館『日本國語大辞典』)

「育てる」にはなくて「育む」だけにある要素は、
「面倒を見る」「いつくしみ」「大切に」「かわいがる」「いたわり」「守る」「かばう」「保護」等は、
人間の感情からでてくる心的行動要素で「心」がまだないAIにはできないわけです。

教育業務の支援AI

AIを使って業務を効率化することができます。
学校や図書館などでの各種手続きや行事スケジュールの管理、
休講案内や履修登録など教育支援業務は膨大な仕事量となります。
出席をとったりクリッカー(スマートフォンで質問に対してクリックを返してくれるソフト)での
全員参加のクイズやミニテストの集計などは後処理がとても大変です。

特に大学は新学期や試験期に数千~数万人の利用が集中することもあります。
逆に夏休みや春休みのような長期休講期間は仕事量が減り、教育業務を均一化することは
教育機関の特性上、不可能です。
しかし一定のパターン化もできるのでAIによる予測実行で現場の職員への負荷を軽減もできます。

また留学生への対応も多言語対応のAIであれば、それぞれの留学生の母国語での対応も可能になります。
病気やケガの相談、カウンセリングなどは慣れない日本語で聞くのは中々心細いことです。
そんな時にもAIは力強い味方になってくれます。

まとめ

教育へのAIの活用は、教育の本質的な仕事以外にも教育を支える各種業務支援にも有効です。
現場の教師の支援や業務担当者の負担軽減、留学生への対応など教育機関の質を一気に高めてくれます。
学生ひとりひとりのポートフォリオの作成支援により、
適切な進路案内や就職活動の助けにAIは有効な道筋を示してくれます。

近い未来に人工知能が人工頭脳になって「鉄腕アトム」のように「愛情」を持った時には、
AIは人間に近づき「育む」ことのサポートもしてくれるようになるでしょう。