不動産テックとは、「不動産」+「テクノロジー(technology)」を掛け合わせた造語です。
IT技術の発展や規制緩和などにより、この不動産テックがめまぐるしく成長をしています。
就職のために一人暮らしをして賃貸を借りたり、結婚や出産を機にマイホームを買ったり、人々の暮らしと切っても切り離せないのが不動産。不動産テックが何なのか少しでも知っておくことで、これからの不動産売買にきっと役に立つと思います。

問題だらけの不動産業界

日本の不動産業界では、以下のような問題が指摘されていました。

膨大なペーパーワークによる営業マンへの業務負荷

不動産業界はその商習慣から、特にデジタル化が遅れており、IT資本が投入される割合が最も低い産業のひとつです。
宅建法では口頭での重要事項説明が義務付けられていたり、ペーパーレス化や電子認証が進まない等、労働生産性の低さはかねてより指摘されていました。

勘と経験と度胸に任される相場感

物件売買時に大事なのが相場や将来の資産価値ですが、営業担当者の勘と経験で査定価格を決めているケースがほとんどです。
画一的な基準がなく、複数の業者に査定を依頼するなど、売主にとって手間のかかる状態になっています。

買い手側が見れる物件情報はごく一部で、透明性が低い

不動産業業界には、仲介業者などの不動産業社のみが利用できる「レインズ」という物件情報システムが存在します。
このレインズのおかげで、物件情報が不動産会社間で共有されたため、別の会社が扱う物件も紹介できるようになりました。
しかし、レインズを利用できるのは不動産会社のみで、一般消費者は利用することができません。
そのため消費者が物件を探す場合は、仲介業者が運営する物件情報サイトか、営業マンから紹介を受ける物件情報しか享受できない状態となっています。

今注目の不動産テック

そこで、不動産業界のさまざまな課題を解決するために注目されているのが、「不動産テック」です。
アメリカでは2014年ごろから注目されていましたが、日本でも不動産テック界隈は盛り上がりを見せています。
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(一般社団法人不動産テック協会:不動産テック カオスマップ 最新版(第5版)2019年8月22日)
SUUMO(スーモ)やHOMES(ホームズ)などの物件情報サイト以外にも、AIを用いた市場推定価格予想や、VRを使って内見ができるシステム、売りたい人と買いたい人をマッチングさせるアプリなど、サービスのジャンルもどんどん細分化され、広がりを見せています。
その中でも、特に注目すべきサービスをご紹介します。

人工知能(AI)が現在の適正価格と将来の物件価格を予想

株式会社Housmart (ハウスマート)が提供する中古マンション物件情報アプリ「カウル」では、人工知能(AI)を用いて物件の推定価格を算出。
住宅ローンを完済する35年後までの物件価格を5年ごとに算出してくれるため、将来の資産価値や、売却したときに手元に残る金額までを提示してくれます。
物件購入費用にかかる諸経費のシミュレーター機能もついていて、マンション購入初心者にとって欲しい情報が手に入る、親切な構造のアプリです。
アプリ新規登録時には、チャットボットの質問にいくつか答えるだけで、自分の希望にぴったりの物件を提案してくれます。

「VR内見」で、おうち時間で内見可能。対面接触なし

VR(仮想現実)の技術を使って、現地に足を運ばなくても専用のゴーグルひとつで物件の内見ができるのが『VR内見』。
新型コロナウイルスの影響により、対面接触となってしまう物件の内見を見送りにする人が増えたことで、VR内見の需要がさらに高まっていると言われています。
自宅に居ながら内見ができること以外にも、いつでも自分の好きな時間に見学できる・入居中の案件でも見学できる、などのメリットがあります。
しかし、物件の外観や周辺の騒音、共用部分のチェックができないなどのデメリットも挙げられます。
購入希望者の利便性を上げると同時に、営業担当者の内見による業務負担も減らす効果が期待されています。

99.2%の精度。顔認証でオートロックを自動開錠

NECが提供する「Neo Face」は、99.2%の認証制度を誇る顔認証ソリューションです。
企業ビルでも採用が増えているウォークスルー型の入退室管理に活用されているほか、マンションのオートロックでも部屋番号の入力なしにロック解除が可能です。
ハンズフリーでの操作が可能なため、コロナウイルス感染予防にも効果が期待できます。

人工知能(AI)が相続税・贈与税をシミュレーション、最適プランを提案

株式会社フェイスネットワークが株式会社ビービーシーと共同開発した「資産まもる君」は、税理士等の士業向けの相続税・贈与税シミュレーターです。
人工知能(AI)がクライアントに最適な相続プラン・贈与プランを提案してくれるので、不動産に詳しくない税理士も、不動産投資物件などの節税メリットが高いプランを提供することができます。

まとめ

不動産業界全体の労働生産性アップや、売りたい・買いたい人にとって便利なサービスが増えたりと、期待できる効果が計り知れない不動産テック。
また、IoTやスペースシェアリングなど、今までなかった新たなサービスが生まれ、ますます発展する不動産テックに今後も注目していきたいと思います。