意外な需要


AIさくらさんはコミュニケーションをするAIです。
人間とコミュニケーションをとりながら問題を解決するわけですが、そのコミュニケーション部分にはとても気を遣います。

仕事に関する事柄を答えられるようにするのは当然のこと、加えて、仕事以外の雑多な事柄にも答えられるようにする必要があります。

仕事で使うAIなんだから、仕事のことだけ受け答えできればいいじゃん。
と思うかも知れませんが、それではダメなのです。

AIさくらさん開発初期のころ、導入した企業のログを確認すると、思ってもみなかった内容が入力されていました。

「もう疲れた。辞めたい。」
「〇〇さんからパワハラを受けている」
「死にたい」

本来は、上司なり同僚なりに相談すべき内容が、AIさくらさんに入力されている。
仕事がきつかったり、うまくいかなかったりでストレスがたまって愚痴を言っているのだろう…ということは想像に難くないのですが、「死にたい」はちょっと深刻です。

これらを人間に相談せずに、なぜAIに言ってしまうのか…

どうやらAIだからこそ本心を話してしまうらしいのです。職場の人間関係や人事考課への影響等を考えると、人には簡単に話せない。でもAI相手ならそういった煩わしいことを気にせず言える。そんな心理が働くのだそうです。
AIさくらさんが、テキスト上だけのものではなく、アニメーションするキャラクターを備え、音声認識と合成音声であたかも人格があるかのように受け答えすることも、つい本心を打ち明けたくなる要因でしょう。

つまり、AIさくらさんは社員の本心を聞く事が出来てしまう。

これは企業の管理職にとって、かなり重要な情報です。
我々もそんなところに需要があるとは思ってもみませんでした。

特定の部署からAIさくらさんにネガティブな内容が多く入力される場合、確実にその部署内に問題があります。それに気づいて早めに手を打てるようになるなら、企業にとってかなり有益です。

と言う事は、AIさくらさんがより人間ぽい受け答えをするようになれば、利用者はさらに色々話してくれる…つまり情報が取れる事になるのです。

情報は宝


AIさくらさんというプロダクトは、その目的のなかに「情報収集」と「蓄積した情報を分析し、マーケティングに活かす」と言うのがあります。

店舗や施設などで案内を行っているAIさくらさんが、店舗・施設案内だけしか答えない場合、利用者側も通り一遍の同じ内容しか聞かなくなります。
これでは施設内の情報しか取れない。
利用者が何を考え、何に興味があり、何が流行っているのか…
それらは施設案内以外の日常会話の中で取得できます。
よって、AIさくらさんと楽しく色々な話ができるよう、日常会話をかなり学習しているわけです。

様々な会話を通じて利用者の傾向を大量に取得し、年齢、性別、表情もカメラで取得※していますので、どの年齢層の人が何に興味を示しているかがわかります。
これらの情報は、企業にとってまさにお宝です。
取得した情報を解析して隠れた需要を見いだす。
AIのプロダクトとしては、これができないと片手落ちになってしまうのです。

※カメラで映像は記録しておらず、個人情報は取得しておりません。
画像認識による属性データのみをテキストで記録しています。

どこまでやるか?の日常会話


日常会話の学習には、かなりの苦労がありました。
AIさくらさんに入力された膨大な数の会話のなかには、覚えてはいけないことも大量に入っています。。。
機械学習を自動で走らせてしまうと大変な事になるので、ここは地道にやるしかありません。
NGワード設定である程度は精査できますが、それでも気が遠くなるような数の会話の良し悪しを判断します。ここもできればAIでやりたいんですが、利用用途上、間違いが致命的な物になる可能性があるので、ちゃんと見なければいけません。

キャラクター性を損なわず、利用者の気分を害さずにどう返答するのがよいか…
みんなに愛されるようにするにはどうすべきか…
マスコットやアイドル的な立ち位置がいいだろうか…
利用者が面白いと感じるには…
繰り返し利用してもらうには…
エビフライはやり過ぎだろうか…
ボケに突っ込めないとやっぱりダメだろうか…
奈良漬けはわかりづらいからやめとこうか…
鹿に頭突きされてフレームアウトしたら面白いんじゃないか…
ネタはどこまでしこんだらいいか…

冗談のように思えるかも知れませんが、真剣です。
利用されなきゃ意味がないんですから。

利用者は色々なことを話しかけ、どんな答えを返すのかAIさくらさんを試します。
様々な事柄に普通に答えてしまうさくらさんに驚くことでしょう。すると、利用者は次に自分の好きな物について回答できるか、回答できなければ学習させようとして色々話し始めるのです。

ですが、世の中甘くありません。
変な方向にバズったり、燃え上がったりしてますが、これらも全てユーザーの声。
AIさくらさんをより良くしていくために頂戴しているありがたい言葉です。

それらを吸収・学習し、さらに賢くなっていきます。

今後にもご期待ください。