今の時代にあった人材の活かし方|ダイバーシティの実行によるDXの推進

ダイバーシティの実現は、人が本来持っている多様性の中の良さを引き出すことに他なりません。どのような人でも強みと弱みを持っています。この中の「強み」にフォーカスしてそれを伸ばし、組織の発展のために活かす仕組みを作ることが人材育成です。それでは実際に今の時代にあった「人材の活かし方」とはどのようなやり方で実現できるのでしょうか。
ポイントは、

  • 実行プラン
  • 目に見える形での成果の具体化
  • ダイバーシティ経営の実現

です。ここではDX推進との関連性に目を向けて、現在進められている企業や組織の事例を交えながら、ダイバーシティの取り組みを紹介します。

ダイバーシティの実行プランの事例

どのような人材を活かすにせよ、闇雲に手をつけられるものでもありません。基本的な考え方や方向性がないと徒労に終わってしまうこともあります。代表的な政策・施策を見ながら実行プラン立案の参考にして行きましょう。

自治体の政策(東京都)

東京都ではダイバーシティについて8つの柱にその政策をまとめています。

1.子供を安心して産み育てられるまち
2.高齢者が安心して暮らせるまち
3.医療が充実し健康に暮らせるまち
4.障がい者がいきいきと暮らせる社会
5.誰もが活躍できるまち
6.誰もが優しさを感じられるまち
7.未来を担う人材の育成
8.誰もがスポーツに親しめる社会

出典:「都民ファーストでつくる『新しい東京』 〜2020年に向けた実行プラン〜」東京都より

注目したいのは、7番目の項目です。ダイバーシティの実現に向けて人材育成が切っても切れない関係にあることを示しています。

企業の施策(経団連、トヨタ)

企業の施策では、女性の経営層への起用を強調しているものが目立ちます。
経団連では2030年までに女性役員を30%まで増やす提言を出しています。
トヨタも『女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供』について、女性管理職数を2014年時点に対して2025年に4倍、2030年に5倍とする目標を掲げています。

ダイバーシティを反映した商品の事例

わたしたち消費者にとって、企業が行っているダイバーシティの取り組みを映し出す物は商品です。そのような商品を企画したり開発する人材は最新テクノロジーも駆使しながら新しい商品を生み出しています。

分身ロボット

一時マスコミでも多く取り上げられた、分身ロボット「OriHime」(オリヒメ)は「子育てや単身赴任、入院など距離や身体的問題によって行きたいところに行けない人のもう一つの身体」(株式会社オリィ研究所)です。

出典:株式会社オリィ研究所ホームページより

これは、障がい者の就労支援につながる試行だけではなく、ビジネスパーソンにとっては「瞬間移動」が出来る夢のようなツールです。複数のオリヒメを全国の支社や支店に設置出来ればテレワーク以上の存在感でコミュケーションの取れるアイテムです。

ダイバーシティ推進による商品の変更

ダイバーシティの浸透は商品名や商品の内容に大きな変化をもたらしています。
ハンドメイドの化粧品を提供している「ラッシュ」(株式会社ラッシュジャパン)では、商品名をジェンダーフリーに変更しています。
一例をあげると・・・

  • 東方美人 (ヘアトリートメント) → 艶髪香花
  • ブラックビューティー(洗顔料) → コールフェイス
  • コスメティックボーイ(保湿クリーム) → コスメティックフレンド

などがそうです。
また、伝統的な商品も大きな変化を遂げています。

さらに国語辞典も進化しています。
「三省堂 現代新国語辞典」では、旧版(第5版)の記述にあった表現は新版では、次のように変化しています。

「恋路」(第5版):男女の恋心の通いあうことを、みちにたとえたことば
 ↓
「恋路」(第6版):二人の恋心の通いあうことを、みちにたとえたことば

※下線部については筆者の加筆

出典:三省堂「現代新国語辞典 旧版(第5版)及び新版(第6版)」より

このような事例は激しい他社との関係で優位に立つ上でも欠かせないアプローチです。

ダイバーシティ経営の推進

人材を活かすためには、経営改革が必要です。パラダイムシフトもその一つです。今までは敬遠していたような人々でも、多様な人材を活かす観点があれば新しいビジネスのマーケット拡大にもつながります。

新しいビジネスモデルへの対応

世界のLGBTの割合は国によって大きく変わるようです。日本での「LGBT意識行動調査2019」(株式会社 LGBT総合研究所)によると約10.0%と言う値が示されています。ドイツでは11.0%と日本と似たような比率です。世界3大映画祭のひとつのベルリン映画祭では、男優賞と女優賞を取りやめ、「主演俳優賞」と「助演俳優賞」に変更されました。
これは様々な個性を持った俳優を起用できるだけでなく、その俳優にシンパシーを感じる多くの人々の表現や可能性を広め、ビジネスチャンスが拡大される好機です。現在ではAIによって、差別的な投稿や検知も高精度で可能になってきています。表現に対するハザードを下げるのに役だっています。
新しいマーケットは自然に出来るわけではなく、自らが創りだすことです。従来はなおざりにしていたマーケットにも大きなチャンスはあるものです。

ダイバーシティ経営の成果イメージ

今の時代にあった人材の育成・活用は、最新のICTを土台とし多様な人材を適材適所で、その能力を発揮してもらう環境を整えることでしょう。
ダイバーシティの実行は経営にどのような成果をもたらすのかを経済産業省では、4つの象限に分けてイメージを示しています。

出典:「ダイバーシティ 経営企業100選」経済産業省より抜粋

まとめ

ダイバーシティの取り組みを進めている企業や組織の共通点は、同時にDXを推進していることです。ハンディキャップを持っているお客様への対応は、従業員が快適に過ごせる場所や働く環境の実現も可能にします。物理的にだけでなく精神的にもバリアフリー化が進んで行きます。

ダイバーシティの実行は、それを理解した従業員を増やすだけでなく、同時に様々な人への対応も可能にすることです。これは従来のマーケットより、もう一回りも二回りも大きなマーケットを相手に出来る土台が作られることを意味します。

そのような新しいマーケットで収益を更に上げるのにはDX推進による生産性の向上が求められます。

今の時代にあった人材活用はDXの中で生産性を上げ、最終的には財務的な直接的成果を上げると同時に、対外的評価の向上や組織内環境の改善の一石二鳥三鳥を狙う経営戦略に結びつくものでしょう。