DXを加速させるリモート接客やオンライン商談

コロナの影響で外出が自粛される中、インターネットを使ったビデオ通話やライブ配信によるリモート接客やオンライン商談が増えています。チャットやメールの補完ではなくメインに据えてきた企業もあります。

このような非対面の新しいコミュニケーション手段のメリットとデメリットを見ながら、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する上でのポイントを見て行きましょう。

リモート接客の優位性

ビジネスの中で接客は大きな柱です。今までは直接会って接客をするのが、当たり前でした。人海戦術で進められていてDXが中々すすめづらい分野でした。

今までの接客スタイルと比べると、リモートには幾つか優れている点があります。実際の場面から整理してみましょう。

時間と交通費の節約

お客様の来店や移動の交通費や時間の負担が無くなります。企業サイドでは、お客様まで出向かなくて良いので、出張費用や移動時間の短縮がはかれます。

大手自動車メーカーでは、VR(Virtual Reality:仮想現実)やAR(Augmented Reality : 拡張現実)も取り入れたオンライン商談を積極的に導入しています。

非接触

リモートのため感染リスクを無くすことができます。食品製造現場やレストランなどでは衛生面でも有利です。

新しいCX(カスタマーエクスペリエンス:顧客体験)

VRと組み合わせれば様々なシミュレーションが可能です。

例えば、新車の商談であれば自動運転の擬似体験ができます。内外装のカラーリングのチョイスやオプション装備時のデザインの確認も容易ですね。アパートやシェアハウスの契約では現地訪問しなくても、間取りやアメニティを知ることもできます。

プライバシー、セキュリティの向上

お客様は匿名性を持ったままで商談ができます。増毛相談や脱毛クリニックなど美容相談のハードルも下がります。そして、やりとりの記録が残せるので、企業防衛やヘビークレーマーへの対応も万全です。

高度な専門人材の活用

エスカレーションシステムに対応できますので、その分野のエキスパートを指名して接客を受けることも可能です。企業サイドでは、有能な人材の待機時間を減らし専門家の適正配置が可能となります。

リモート接客の弱点

リモート接客やオンライン商談には弱点もあります。DXの進まない企業では「言い訳」にも使われてしまう要因です。

投資効果が不明

リモート接客やオンライン商談を実現するためには、機器の増設や高速回線の整備、各種ソフトウエアの導入など一定の投資も必要です。DX推進体制が整っていないと長期的投資計画が作れません。

回線品質に問題

ビデオ会議で音声の中断や映像がフリーズした経験は誰しもがあると思います。特に、出勤直後や昼休み後など社内アクセスが集中する時に起こりがちです。

既存のインターネット回線の見直しやルーターやHUBの再点検も必要です。

デジタルデバイドの存在

悩ましいのが、企業側にもお客様側にもあるデジタル素養のギャップです。テクノロジーに不慣れな問題よりも、文化的背景のギャップの方がミスコミュニケーションに落ち入りやすい点です。

例えば、現代の若者にはビデオ再生で「巻き戻し」が通じません。DVDやストリーミングサービスでは「早戻し」になります。テープ言うメディアが日常生活にない世代には「巻く」と言う概念自体が良く理解できないからです。

匂いや味が伝えられない

インターネットやホームページでは匂いや味などの五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)に関わる情報伝達が稚拙です。

触覚については、iPhoneで実現したように平面パネルでも「押した」実感が実現できるようになりました。けれども「味覚」と「嗅覚」については、最初から諦めている人が多いのが現状です。

DX人材の不在

笑い話であるのは、ZoomやSkypeのビデオ会議を会社の重役が使うのに、SEに問合せた例があります。

先方には事前に資料はメールしてある。電子黒板まで使う必要はない。先方とは一対一で商談する。セキュリティ上オフィスの背景が映るのは困る。どんな最新コミュニケーション・システムが良い?

電話が良いと思います。

優秀なSEですね。ビデオ会議システムの設定やレクチャーの手間暇を省き、最適化されたビジネスソリューションを提案できる人材は必須です

弱みを強みに変えるAIの活用

弱点はウラを返せば、克服すれば最強の武器にも変身します。前項の弱点は多くの企業や自治体でもあります。IoTやAIの活用で、弱みを強みに変身させることが可能です。

投資効果

追加投資費用と導入による削減コストの対比を戦略担当部門(担当者)が明確にすることです。そのためには、担当を決めて経営陣が陣頭指揮をとる必要があります。

回線品質

現状把握を正確にした上で、アップデートで対応できるか5Gへの切り替えも含めて費用対効果を算出しましょう。

デジタルデバイド

社内外に向けてAIコンシェルジュの導入が最短方法です。対象となる顧客や社員への情報提供の仕方や社員教育の方向性を機械学習のデータより客観的分析できるようになります。

匂いや味

東京大学先端科学技術研究センターや総務省では、「五感情報通信」の研究開発が既に10年以上前からはじめられています。人間の五感に代表される感覚全体を情報通信の対象とするものです。

(出典:「『五感情報通信技術に関する調査研究会』 報告書」総務省

嗅覚や味覚について、インターネットを介して相互共有する日はそれほど遠い未来ではありません。

DX人材

優れた知見や経験を持った企業や人も増えてきました。「DXさくらさん」(ティファナ・ドットコム)のようにパッケージ化されたDXソリューションの提供もされています。社内や組織内にまだDX人材がいないと諦めるのは性急ですね。

まとめ

AIやデジタルテクノロジーの力を使い、ビジネスそのものや、プロセス、企業カルチャー、組織風土を変えて行くのがDXです。
リモート接客が従来の接客方法の置き換えではなく、新しい手法の一つとして定着させるためにはDXをさらに推進させる必要があるでしょう。

現状の接客方法にプラスして、ビジネスの「持ち札」を増やすことは堅実な方法だと思えます。
企業や組織と利用者の接点を連携させるオムニチャネルは、リモート接客によるビフォー・アフターでさらに、重層的に顧客との距離が縮まります。

その経験を機械学習させてAIを成長させることが、競争力の強化にも続くでしょう。