jititai_1805.jpgAIの活用は一般企業だけではなく、官公庁、自治体でもはじまりました。
とりわけ、私たちの身近な住民サービス、窓口業務の効率改善の検討に向けて、どのようになっているのかをみてみましょう。

住民ニーズの分析、要望と改善方向の道すじを考えます。
東京都立川市の調査分析、神奈川県川崎市の実証実験や徳島県でのインバウンドを含む
問い合わせに対する業務効率化、回答率、満足度の結果についても触れてみたいと思います。

住民ニーズはどこに

地方自治体の住民サービスは、行政の規模や範囲、住民の人口や年齢構成によって内容が大きく違います。
その満足度について平準化してみることは必ずしも科学的であるとは言えません。
しかしながら、2017年の「窓口サービス満足度調査の結果について」(横浜市記者発表資料)
「平成29年度市民満足度調査(平成28年度集計結果)」(立川市)を分析してみると、
自治体に対する住民ニーズの顕著な例がわかります。

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(出典:「平成29年度市民満足度調査(平成28年度集計結果)」立川市)

自治体の窓口業務についての満足度調査の内容です。
上位の不満点は対応問題と「説明がわかりにくい」「待ち時間が長い」「申請書類等の記入のしやすさ」の問題です。

これらの改善要望、問題解決にAIの活用はどのように応えることができるでしょうか。

AIに自治体は何をもとめているか

AIの実用化検討については、多様な分野で実用化や実証実験が進められています。
民間企業における品質向上、業務プロセスの効率化や改善などに寄与しはじめました。
IoTやビッグデータの解析と合わせて付加価値の高いサービス提供の実現に向けた研究が進められ一部、実用化されています。

しかし、自治体や住民サービス向けのAI活用の検討はあまりすすめられておらず、
行政事務の効率化や住民サービスの提供にどのように生かし、
どのよう課題があるのかなどについては現状では余り明確になってはいません。

AIの活用で住民サービスを改善する

AIの行政における活用に関する研究では次のような期待感が示されています。

【人工知能技術の処理目的別分類】

  • 情報(音声・画像・文章等)の判別や仕分け、検索を行う
  • 情報(音声・画像・文章等)に基づいて、状況を的確に把握する
  • 異常や不正が発生するリスクを評価する/異常や不正の発生(の予兆)を検知する
  • 将来の動向、変化等を予測する
  • 複数の候補の中から、条件等に合致する最適な「お薦め候補」を抽出する
  • 随時変化する状況に合わせて、即時に対応策を判断する
  • 文書や図、デザイン等を生成する

出典:「平成 27 年度人工知能技術の行政における活用に関する調査研究報告書」(一般社団法人 行政情報システム研究所)

AIは、このシンクタンクのレポートのわずか2年ほどで全ての機能を実用化し製品に組み込んでいます。

そしてこのAIを自治体の観光資源活性化のための実証実験まで漕ぎ着けています。

2017年夏の徳島県の「阿波おどりAIコンシェルジュ」の実証実験
(徳島県とテレコメディア,ソフトバンク,ティファナ・ドットコムの4者で実施)は
全国的にみても貴重な実験結果を残していると言えます。

次のデータは、徳島県の発表の分析結果です。AIは回答率90%以上、満足度最高74%を達成しています。

全期間の問い合わせ分析(4カ国語計)

質問数

 質問総数21,171 件(一日平均1,008 件)

平均回答率(ユーザーの質問に対しAI が回答できた割合、以下同じ)

 90.6 %

ユーザー満足度(AI の回答に、はい、いいえで満足度を調査、以下同じ)

 7/27(木)62 % → 8/2(水)67 % → 8/9(水)71 % → 8/16(水)74 %
 ※実証実験開始から各基準日までの累計値を記載

また、神奈川県川崎市でも実証実験は行われています(2016年9月6日~9月30日)。
実験サービスを利用して良かった点について、「24 時間使える」(66.0%)が最も多い回答でした。
次いで、「電話、窓口より気軽」(49.5%)、「直感的で使いやすい」(29.1%)
「知りたいことが簡単にわかる」(24.3%)、「キャラクターがかわいい」(22.3%)が続きます。

ユーザーインターフェイスの側面でみると、使いやすさ(24時間、気軽、直感的)と
気軽さ(簡単、キャラクターのかわいさ)の二つに収斂され、AIの活用に重要な実証実験の結果を提示しています。

*尚、川崎市の実証実験においては、ディープラーニング、多言語対応機能は装備していません。

まとめ

AIは、現在では上記の基本的な実証実験の結果を踏まえた機能を実装し、
しかもディープラーニングと多言語対応機能までを装備した「AIコンシェルジュ」が登場しています。
利用者になじみやすい、かわいいキャラクターを搭載した「AIコンシェルジュ」は
自治体、ショッピングセンター、公共交通機関等で大きな成果を上げ始めています。

スマートフォンからでも「AIサイネージ」からでも簡単にアクセスできるAIが登場しています。
すでに十分な受け皿の整っているAIを官公庁・自治体で活用する方向は見えています。
後はAI導入の政策決定となるべく多くの市民の声をAIに学習させることだけでしょう。