業務の効率化や省人化が可能になるとして、注目を集めている人工知能(AI)。

この活用については日本でも研究が進んでいますが、
残念ながら現場への導入状況は、米国や中国を始めとした海外には遅れを取っている状況となっています。

理由は文化的な側面を含めて様々とされますが、
なによりも日本では「AIがどこまでできるのか」という認識が一般に浸透しきっていないことが考えられます。
しかし、AIには何が出来て、どの程度正確な仕事ができるのかがわかれば、これほど重宝する「人材」は他にないことがわかります。

ここでは、現在のAIの主な導入事例について、国内外の事例を取り上げつつ解説いたします。

不正検知・監視業務

AIによって可能になる業務のうち、積極的に導入が進んでいる分野が「不正検知」「監視」に関する業務です。
AIは情報の処理が早く、正答率も高いという特徴があります。
そのため、大量にある情報を次々に判断し、振り分けていくような業務には非常に高い能力を示します。
このタイプのAIは国内でも導入が進んでおり、実際に現場で活躍する場面も増えています。

たとえば、取引所の相場操縦や、ハッキングによる不正送金の阻止、
そしてオークションサイトにおける盗品の不正出品の監視業務などは、そのほとんどをAIが担うという企業や組織が出現しています。

この場合、すべてのデータをチェックする「初動調査」はAIの役割であり、
人は「AIが不正を検知したデータのみ精査する」という役割分担が可能になります。

もちろん、AIの導入によって得られる効果も検証されており、
それぞれの分野でおよそ6~9割もの業務量軽減が認められています。
なお、この「見分ける」能力は医療分野での活用も進んでおり、X線画像からがんの診断ができるAIなども誕生しています。

自動操縦・工場の自動化

夢のような技術として、長らく近未来の象徴となっていた「車の自動運転」。
ですが現在は、公道も含めた実証運転が既に世界中で行われる段階にまでなっています。

たとえば、米国では障がい者向けの自動運転バスが造られており、既に公道での試験運転も行われています。
アプリで無人のバスを呼び寄せたり、目的地を設定することなどが可能で、ブレーキなどの安全面も考慮された設計になっています。
車内のAIとは会話で目的地を相談することもできるなど、まさに未来技術をそのまま描いたような光景が間近になりつつあります。

他にも、工場などの自動化技術については、国内でも導入が進んでいます。
工場においてAIは、複雑な生産過程の自動化に役立つことはもちろん、製造ラインの振動・音における異常の有無までも監視します。

また、これまでは人が臨機応変に判断する必要のあったいわゆる「職人技」の分野にも、「思考する」AIが徐々に進出してきています。

自然言語処理・翻訳

既に身近な存在となっている「チャットボット」も、未だ発展を続けている分野の一つとなっています。
「AI さくらさん」が得意とする分野もこちらであり、より具体的に言えば「AIとの対話が可能になる」という技術です。

ですが、これは単に決まった質問に定形の答えを返すだけのものではありません。
現実において、たとえば顧客からのお問い合わせは同じニュアンスでも使用する単語が異なっていたり、文脈に差異があることが多々あります。

しかし、現在のチャットボットはその細かな違いも理解した上で正確な回答が可能になっています。
この自然言語処理技術の活用方法は多岐にわたり、顧客対応はもちろんのこと、
AIキャラクターそのものとのコミュニケーションを楽しむためのアプリも存在しています。

他にも、たとえばマーケティングにAIを活用しようとした場合、
この技術であれば、ユーザーからの情報収集という点において、導入が比較的容易である点もメリットとしてあげられます。

そして、この分野でAIが真価を発揮するのが、多言語対応が可能という点です。
既にリアルタイム翻訳にAIを活用する試みも進んでおり、外交などの第一線や、スラングといった分野を除けば
もはやAI翻訳によるその場での意思疎通は十分に可能となっています。

これはビジネスの場においても例外ではなく、
これまでは外国語学習に割かれていた時間を、プログラミングなどの将来有望な技能の習得に傾けるべきという考えも生まれてきています。

まとめ

このように、AIはこれまで「人でなければ困難」とされていた分野においても即戦力となりうる、夢のような技術であることがわかります。
ですがAIも人と同じように、「何かを判断させる」ためには、事前に大量の情報を学習させるという過程が必要です。

例えば不審者検知のカメラの場合は人の顔を、宝石鑑定をさせる時は宝石のデータを、といった具合になります。

AIの開発が主に大企業同士の競争となっているのは、
この学習に役立てる専門のビッグデータを既に各社が保有しているという点が理由の一つに挙げられます。

しかし、逆説的な見方をすれば、「一定の基準で同じ思考や判断を繰り返す分野」においては、
AIは最もパフォーマンスを発揮できると考えることができます。
つまり、このようなタイプかつ、量が膨大な業務をAIに一任することができれば大幅な効率化や省人化が達成できるということになります。

また、AIには「一度可能になった業務は、24時間いつでも安定した品質の成果が約束される」というメリットもあります。
労働時間や賃金の制限がない特別な人材として、今後AIが採用される場面が増えていくことは間違いありません。