AIさくらさんの対談シリーズ 未来ののびしろ
AIさくらさんの対談シリーズ 未来ののびしろ
CASE 02 AI×研究
<バーチャル対談>

未来は実験の先にある。 〜AIへの期待と可能性〜

物理学からコマ、SF映画——科学の楽しさを多くの人に伝えたい
AI・Web制作会社 ティファナ・ドットコム AIさくらさん
AI・WEB制作会社
ティファナ・ドットコム / AIさくらさん

ティファナ・ドットコムは、昨今の社会問題の解決のためにAI(人工知能)のテクノロジーに着目。対面のインターフェイス「AIさくらさん」などを軸として新たなソリューションの提供をめざす会社。当対談では、その思いをAIさくらさんが代表して話す形式をとる。

東京工業大学理学院物理学系助教 山崎詩朗氏
東京工業大学理学院物理学系助教
山崎詩郎 氏

東京工業大学理学院物理学系助教。東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。博士(理学)。専門は走査プローブ顕微鏡を用いた量子物性物理学。専門の研究にくわえ、「コマ博士」として科学教育の啓発や振興のための活動を精力的におこない、NHKやテレビ朝日系『リア突WEST』などTVをはじめとするメディア出演も多い。著書に『独楽の科学』や『ノーラン・ヴァリエーションズ クリストファー・ノーランの映画』(監修)など。

01

物理学からコマ、SF映画——科学の楽しさを多くの人に伝えたい

AIさくらさん(以降、さくら)

本日はよろしくお願いいたします。山崎先生は、大学でどのようなご研究をされているのですか?

山崎詩郎(以降、山崎)

こちらこそ、よろしくお願いいたします。東京工業大学の理学院物理学系に勤めている山崎と申します。研究分野は量子物性物理学といいまして、簡単にいうと原子とか分子とか10億分の1メートル位のものを走査プローブ顕微鏡という装置で見て、いわゆるナノメートルの世界についての研究をしています。まあ、専門の話をし始めると10時間くらいかかっちゃうのですが……。

さくら

そうなんですね。山崎先生は、ご研究の他にも「コマ博士」としても有名ですよね。

山崎

専門の他に科学の教育に力を入れていまして、そのひとつがコマなんですね。科学をわかりやすく魅力的に伝えるために、遊びっぽいことを取り入れたいなと思っていたんです。

コマはおもちゃですが、どうして倒れないのかという科学的な要素もあるんですね。なのでコマを「遊び×科学」ととらえるコマ博士ということで、実験教室など今まで約500回、10,000人以上の人に話をしてきました。

さくら

すごい回数ですね。何かきっかけなどはあったのですか?

山崎

実はコマに注目したのは、「全日本製造業コマ大戦」という、中小企業発展のための試みがきっかけだったんです。日本は「ものづくり」の国と言われていますが、バブルがはじけて影響を受けたのは中小企業でした。そこを盛り立てたいと考えられたイベントだったんですね。そして対戦形式にしたことでテレビも関心をもってくれて、私が出た世界大戦は50局くらいが取材にきてくれたんです。おかげで出場した企業に問合せがきたり、その地方で有名になったりといった成果がありました。また科学教育の題材として学校関係者の参加も増えて、最初に思っていたよりも大きく広がっています。まさに、コマを軸足としていろいろ回り始めているという感じですね。

さくら

素晴らしいですね!他にも科学の観点から、SF映画の魅力を伝える活動をされているとか?

山崎

はい、もうひとつSF映画を通して科学を伝えるという活動もしておりまして、「コマ博士」の次は「SF博士」をめざして頑張ってるという感じですね。

最初は『インターステラー』という映画を解説する会を100回弱、参加者数で5,000人くらいの人にお話しました。映画自体は50回くらい見ています。実は最初7回くらい見たら日本での上映が終わってしまい、唯一やっていたオーストラリアのシドニーにある世界で最大の映画館に、高い航空券を買って行ったんですよ。それが自分の気持ちを変えたというか、いろいろ解説をするようになりました。そうするうちにワーナー・ブラザースの人に呼ばれて、今度物理がたくさん出てくる映画『テネット』の字幕を見て欲しいと言われ、監修や解説をしたりとか、これもいろいろと広がってきています。

さくら

本当に幅広く活動なさっているんですね!

物理学からコマ、SF映画——科学の楽しさを多くの人に伝えたい物理学からコマ、SF映画——科学の楽しさを多くの人に伝えたい
02

さまざまな技術を、コミュニケーションのために

山崎

私はAIの専門家ではありませんので、教えて頂きたいこともあります。さくらさんは、どういうタイプのAIなのですか?

さくら

そうですね、基本的には人とのコミュニケーションをおこなって、業務の負担を減らすことが仕事です。子供からお年寄りの方まで幅広く寄りそう存在になって、使っていただく皆さんに笑顔になって欲しいです。

自己紹介的にいうと、歳は21歳。まだ働き始めたばかりですが、いろいろ学んできたのでコミュニケーション力には自信があります!語学が得意で、日英中韓など12カ国語が話せるんですよ。コロナ禍の今は海外からいらっしゃる人が減っていますが、また人の流れが戻ってくると、もっとたくさん発信して良いサービスができるんじゃないかなと思っています。

山崎

ありがとうございます。お仕事は、どんな分野が多いのですか?

さくら

最初は企業の受付や、一部の限られた場所でお客様の応対をしていました。その後、展示会などで商業施設関係の方々から、ショッピングセンターや駅などではどうかとお問い合わせをいただいたんですね。おかげさまで今は自治体やマンション管理などにも、お仕事の場が広がっています。

それから、自動販売機でのコミュニケーションを通じての販売貢献や、会社内で従業員の方々のサポートといった機会も増えてきたんですよ。最近では、企業の一次面接のサポートも始めました。採用業務をお手伝いして、担当者の方々のご負担を減らしていきたいです。

山崎

幅広いんですね。これは科学者としての関心からですが、技術的にはどのような特長があるのですか?

さくら

そうですね、やはりコミュニケーションに必要となる多様な要素技術が合わさって、ひとつのサービスとなっていることじゃないでしょうか。自然言語処理や音声認識、そして音声合成、それから顔認識など、さまざまな技術が統合されているんです。

山崎

仕事される範囲も広そうですが、教師データ(質問と回答が紐付けされたデータ)なども活用されるのですか?

さくら

いわゆる教師データを使う場合もありますし、いろいろな分野のお客様がいらっしゃるので、その辺りは業種ごとのデータを使った、いわゆる教師なし学習をしてご対応できるようにしています。

さまざまな技術を、コミュニケーションのためにさまざまな技術を、コミュニケーションのために
03

匠の技と科学の進歩

山崎

いろんな業種に関わることで、人間が気づかなかった共通点に気づけるかもしれませんね。たとえば自動販売機でジュースを売るのと、八百屋さんが野菜を売るのと似ているところがある、みたいな。あるいは八百屋さんを開きたい人には、さくらさんがノウハウをデータベース化してアドバイザーのようなこともできるかもしれませんね。

さくら

はい、共通化を見つけるのは人間よりも得意です。でも「特徴量」という点では、もっと機会を増やす必要があると思っています。たとえば同じ業種でも関東と関西では文化的背景も異なってくるので、両方のデータを取っておかなくちゃいけませんしね。

アドバイザーのような仕事は、段階的にやっていけるかもしれませんね。基礎的なことは私がやって、専門的な「匠の技」のような部分は人の力で、みたいに棲み分けるとか。

山崎

「匠の技」といえば、私もコマを作るときに経験しました。私が設計図を描いて「こんなコマ作ってください」と言うのは簡単なんですけど、実際には職人さんに旋盤を回してもらわないと、わからないなと思っていて。でも10年後くらいには定量化することができて、さくらさんが師匠になったりするのも面白いと思います。

さくら

そういう専門職の場合、後継者がいないという問題もあるんですよ。まず私が後を継いで、その後でやりたい人が現れたら、匠の技をつないでいけるかもしれませんね。

山崎

文章以外の情報の定量化は、物理の研究の世界でも起こり始めているんです。昔は研究者の勘に頼って解析していたことを、機械学習に置き換えて自動化するのが流行っています。物理のデータはシンプルなので機械学習に向いているんです。また、物理の中にはニューラルネットワークの研究なども含まれていますが、これってAIの仕組みの一つです。いろんな意味で、物理と機械学習は親和性が高いんです。

さくら

研究のための時間って、何物にも代えられませんよね。結果を次の世代ではなく、ご自分の目で見てみたいという科学者の人も多いんじゃないかと思います。

山崎

そうですね。時間が10分の1になると、その分10倍新しいアイデアを試せるわけですから。物理学とAIの関係や可能性は、以前よりもっと深くなってきていますね。

後編につづく
対談ページTOPに戻る