5G(第5世代移動通信システム)は、有線LAN市場にどのような影響を与えるのか?

一昔前、電話は固定電話しか無く、家族で1つの電話を使い回している時代がありました。また、通話時間と相手への距離で通話料金がかかるため、上京している学生などは、深夜の通話料が安くなる時間帯で、長時間電話をするのが日常でした。

その後、携帯電話(移動通信システム)が、自動車電話を皮切りに普及し始め、今では、家族でも各個人で携帯電話を持つ日常に代わり、アプリを使えば特定の人とは無料で通話も可能になりました。

携帯電話やアプリの普及と共に、固定電話を持つ一般家庭も大変少なくなりました。

これと似たような現象が、5G(第5世代移動通信システム)が普及することで、起こるかもしれません。

現在、地上デジタルテレビ放送の普及に伴い、光回線の有線LANを導入している一般家庭は多いと思います。

また、マンションやアパートでの賃貸物件では、居住者専用の有線LANもしくは、無線LANをサービスに含めていることは当たり前のようになっています。

そのような中で、5G(第5世代移動通信システム)が普及すると、有線LANは一般家庭から固定電話がなくなったように、なくなってしまう可能性があります。

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導入の手軽さ

4G(第4世代移動通信システム)が普及したことで、家庭用のネット回線の新規契約も減少傾向にあります。

昨今の新型コロナの影響で、テレワークでの自宅作業が増えたことにより、大容量契約のSIMフリー回線が、供給を止めるほど契約数を伸ばしています。

SIMフリー回線の契約とは簡単に言うと、主要3事業(ドコモ、ソフトバンク、au)の回線を利用した主要3事業以外の会社が運営する回線契約のことになります。

なぜSIMフリー回線の契約が伸びているか?

その理由は、利用している回線は4G(第4世代移動通信システム)のため、通常のweb会議程度では問題ないスピードを実現しているからです。

また、主要3事業(ドコモ、ソフトバンク、au)とは違い、提供会社によっては解約の際に違約金がない点も、テレワークでの自宅作業が必要となくなったらすぐに解約できる手軽さとして好まれています。

また、家庭用の有線LANのように工事などを行う必要がないため開通までの時間もほとんどかからず、3,4日程度でSIMカードが届き、開通が可能な点も需要が伸びている理由です。

つまり、次世代の5G(第5世代移動通信システム)が、現在の4Gの手軽さを残したまま普及すれば、家庭用の有線LANはなくなる可能性が高くなります。

基地局の複数接続時の安定性

5G(第5世代移動通信システム)は、スピード以外にも基地局の複数接続時の安定性も特徴の一つです。

4Gでは、動画を閲覧する際でも問題ないスピードではありましたが、スピードの安定面ではまだ問題がありました。

例えば、同じスピードで大容量データをダウンロードするときなど、有線LANは常に安定したスピードでダウンロードできるのに対して、4Gでは基地局を複数人で共有している関係で他の人が大容量のデータ通信を始めればダウンロードスピードは当たり前ですが安定しないため、ダウンロードに時間がかかったり、タイミングが悪かったりすると途中でダウンロードが止まることもあります。そのため、ネットゲームなど安定した通信環境が必要なユーザーは家庭用の有線LANを選んでいました。

ただ、5G(第5世代移動通信システム)は、基地局の複数接続時の安定面では4Gよりも改善されているため、安定した高速通信を可能としています。

また、低速での複数回線接続も強いと言われています。

これは、今まで家庭用の無線LANで行っていた家電のネット接続にも活躍できる技術です。

また、メーカー側としても低速回線は安く供給できる関係で、家電への導入も手軽に行えます。

以前は、amazonの電子書籍用の端末は、無料でネット回線も付属しているため、外出先でも気軽に電子書籍がダウンロード出来ました。

また、家電をネットに接続することで使用に関するデータや定期的な機器の動作チェックデータなど、データを常に取得することができるため、メーカーとしても回線費用をメーカーが負担しても大きなメリットがあります。

 

家庭用の有線LANサービスは、生き残れるか?

5G(第5世代移動通信システム)は、導入の手軽さ、高速回線、回線の安定性を持ったシステムであり、有線LANサービスを必要とした需要は、すべて5G(第5世代移動通信システム)に取って代わる可能性が出てきました。

ただ、今後、仕事の仕方が変わり、オフィスなどへの出社を必要としない生活習慣へと変わると、より安定やセキュリティ面で有線LANの需要は伸びるかもしれません。

テレワークなど自宅での仕事を可能にするためには、VPNや固定IPなど高いセキュリティの導入が不可欠になります。

そのため、本当に有線LANサービスの代わりに5G(第5世代移動通信システム)がなるには、高いセキュリティを提供するサービスも併せて必要となります。

つまり、高いセキュリティを担保できれば家庭用の有線LANサービスは生き残る可能性があります。