世界各国でその取り組みが注目されているスマートシティ構想。
その背景から、スマートシティを具現化するために必要なIoTテクノロジーまで、幅広く見ていきたいと思います。

IoTって何?

IoTとは、「Internet of Things」の略で、「モノのインターネット」と表現されます。

Wikipediaによるところでは、様々な「モノ(物)」がインターネットに接続され(単に繋がるだけではなく、モノがインターネットのように繋がる)、情報交換することにより相互に制御する仕組みである、との説明がありました。

つまり、IoTとは、すべてのモノがインターネットにつながることで、それぞれのモノから発信される情報を元に、最適に機器や環境をコントロールしていきましょうということなのですね。

スマートシティはなぜ注目されるのか

スマートシティの概念は時の流れとともに変わってきています。

2010年代の当初では、エネルギーや交通分野という個別分野においての課題を技術主導で解決しようとしてきた側面が強く、住民視点で見た場合、都市全体を見通した課題解決には至っていませんでした。

しかし昨今では、産業界および政府を巻き込み、あらゆる分野のデータを用いた分野を問わない都市・住民課題の解決を加速するための議論が進められています。

現在におけるスマートシティとは、言わば「ビッグデータやICT(情報通信技術)を用いて都市の抱える色々な課題を解決し、住民や企業が快適に生活できる都市」と言ってもよいでしょう。

そして、そのためには、あらゆるものがインターネットにつながるIoT技術の利活用が不可欠になっているのです。

スマートシティが世界各国で注目を集めている背景として、その最たる要因としては人口増加が挙げられます。
日本では少子高齢化が進んでいますが、世界全体で見ると人口は増加傾向にあり、また、増加する人口の70%が都市部に住むようになると言われているのです。

このままでは、都市部の混雑状況や環境問題は悪化し続けていきます。

この問題を解決するために、各国はIoTなどの最新技術を利活用し、様々な問題を解決していかないと破たんしてしまうというのが実情なのです。

日本もご多分に漏れず、都市部への人口集中、インフラの老朽化、人口の高齢化など様々な課題があります。

IoTを使ったスマートシティの事例を見てみよう

残念ながらこの分野での日本は少々遅れ気味なので、海外の事例をいくつか見ていくことにしましょう。

中国の杭州市では、道路のライブカメラ映像をAIで分析して交通渋滞の問題解決を行っています。

交通状況に応じて信号機の点滅間隔を自動で切り替えるようにした結果、救急車の到着時間が半減したり、自動車の走行速度が15%上昇したりしました。

つまり、交通渋滞の緩和効果があったということになりますね。

また、フィンランドのヘルシンキ市では、公共交通やタクシーなどの民間サービスを含めたあらゆる交通手段について、移動計画から予約、決済までワンストップで完結できるMaaSというサービスを展開しています。

この予約から決済までワンストップで完結できるのは、あらゆるものがインターネットにつながっているIoTだからこそできるサービスなのです。

IoTにリスクはないのか?

スマートシティIoTは、都市を運営するためのインフラシステムがネットワークにつながることを意味します。街中のあらゆる機器がネットにつながるということですね。

これは、街中に配置される機器をはじめ、あらゆるものがサイバー攻撃の対象になるリスクがあることを指しています。

実際にハッキング可能な交通システムがあることが報告されています。これはとても怖いことです。とある映画のように、都市全体の機能がハッキングで麻痺してしまうリスクもあるのです。

このように、スマートシティIoTでは(そのほかのIoTでも同様ですが)、セキュリティ対策が欠かせないものとなっています。

対策分野も、環境、エネルギー、交通、通信、教育、医療、健康など、幅広く取り組むかたちが提唱されているところなのです。

トヨタが作るコネクティッド・シティはスマートシティ構想を超えるか

トヨタ自動車は2020年の冒頭に開催された「CES 2020」において、あらゆるモノやサービスがつながる(IoT)実証都市「コネクティッド・シティ」を静岡県裾野市に作ることを発表しました。

「Woven City(ウーブン・シティ)」と名付けられるこの町は、人々が生活するリアルな環境のもと、自動運転、MaaS、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム技術、人工知能(AI)技術などを導入・検証できる実証都市となります。

このプロジェクトの狙いは、「人々の暮らしを支えるあらゆるモノ、サービスが情報でつながっていく時代を見据え、この街で技術やサービスの開発と実証のサイクルを素早く回すことで、新たな価値やビジネスモデルを生み出し続けること」とされています。

IoTという側面で見ますと、街角の信号、行き交う人や動物、自転車や自動車、路面の地中やカフェの出入り口など、あらゆるところにセンサーや信号送受信機を備え、そして、それらをつなげることでデジタルの進歩がもたらす安全や安心という恩恵を人に還元していくことを標榜しています。

すべてのモノがインターネットにつながるIoT。技術革新がもたらす恩恵の裏には常にリスクが存在します。

甘い果実を取るのか、毒キノコにあたって苦しむのか。最後は人の良心にゆだねられるのではないでしょうか。