最近ニュースでも増えてきた、医療現場でのAIの活躍の事例は大変身近な問題ですね。
患者(ユーザー)、医師(医療従事者)の医療をとりまく様々な問題をAIの最前線技術でどのように解決できるかを考えてみましょう。

はじめに、主だった医療領域で最先端の事例も含めてAIの活用カテゴリーを整理してみます。
次に、身近な事例で問題をAIによる解決方法とその可能性について、
とりわけAI導入についてのイメージが湧くような実践例も紹介していきます。

身近な医療をとりまく様々な問題を解決するのに一番効果的なAIは、次の4つのソリューションを持っていることが特徴です。

  • ユーザーインターフェイスが馴染みやすい
  • 音声応答可能なチャットボットがある
  • バックグラウンドにある医療データに安全かつ迅速にアクセスできる
  • コストパフォーマンスに優れたトータルシステムである

身近な医療をとりまく様々な問題をAIで解決する

医療現場で活躍しはじめたAIの最前線を5つの領域に整理してまとめていきます。
まず、AIの特徴には大きく二つあります。
一つ目は膨大なデータを(ビッグデータ)を高速に処理できることです。
人間とちがって24時間365日、処理を続けることが出来ます。また、疲れを知りません。
二つ目はディープラーニング(深層学習)によって精度を高めることができます。学習のアルゴリズム(プログラム上の「やり方」)の与え方によって沢山のデータを学習すれば自らどんどん賢くなっていくという特徴があります。
このような特徴を医療分野でどのように活かされているかを見てみましょう。

1.画像処理

人間ドックや手術前に行われるCTスキャンから得られるデータの解析には専門的なスキルが求められます。
CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影法)スキャンはX線検査の立体版で、
レントゲン照射した後にコンピュータで画像を作り出す画像解析技術です。
この解析は放射線科医の仕事でその専門医の数は決して多くありません。

CT画像のデータベースの中から異常を読み解く正答率は医師によってばらつきがありましたが、
広島大学の評価実験ではAIを導入することで、診断時間を最大1/6に短縮し、類似症例検索の正解率を85%に引き上げ
データ解析において大きな進歩をもたらしました。

2.コグニティブ(Cognitive, Cognitive Computing System)

最近よく聞くようになってきたコグニティブ。
「コグニティブ・コンピューティング・システム」はIBMが提唱した新しい概念ですが、
コグニティブそのものは日本語では「認知」「認識」と訳されます。

コンピュータの処理プロセスで、「与えられたデータ」→「理解」→「推論」→「学習」(その繰り返し)によって、
人間の認知の過程のように知識データベースを加速度的に拡張させるシステムです。
論文データの読み解きなどで膨大な資料の中から成功事例の検索などにも使えます。

3.PHR(Personal Health Records)

「PHR(パーソナルヘルスレコード)」は「個人が生涯にわたり自分自身に関する医療・健康情報を収集・保存し活用できる仕組み」を指します。

政府のデータ利活用基盤構築の一環で、総務省・厚生労働省・経済産業省の共同プロジェクトで、
国民一人ひとりが自らの健康テータの変化を把握し、自ら予防行動をし易くするために、
AIとも連携させて大規模な医療ネットワークを構築しようとするものです。

弊社のAI接客システム「AIさくらさん」では、AI接客型サイネージの前に立つ人間の脈拍数と性別年齢、
さらには悲しみや真顔といった感情までも捉えて分析することさえできるようになっています。

4.医療(医薬)事務

事務職は医療分野に限らずAIにとって変わられようとしています。
現在は法律や規制の関係でインターネット上での医薬品の販売に制限がありますが、近い将来規制緩和が更に進めば一気にAIの可能性が広まります。

特に前出のPHRの普及によって、薬の飲み合わせ(相互作用)による薬の効き目が強くなりすぎたり、
弱くなったりする弊害がAIによって防がれるようになります。

また、花粉症のように季節や花粉の離散量によって薬を飲む時期や種類・量などが違う場合、
症状が酷くなる前に通院するように通知してくれるようになるでしょう。

現在は病院や薬局で薬を購入する際に、事務方、薬剤師、医師が注文書を書いたり、必要情報を記入したりと
様々な面倒な事務手続きを行っていますが、
既にAIの活用でインターネット上の決済システム(Amazon Pay等)と連携を行っている「AIさくらさん」では、
面倒な手続きをすることなく薬剤師の指示のもと、簡単に薬を購入することも可能です。

5.応対

人間相手の医療業界の特徴は、相手(患者さん)にあわせて接客応対や高度な医療対応をしなければならない点です。
だれでも怪我や病気に望んでなるわけではありません。また病院や薬局が開いている時にお腹が痛くなるとは限らず、ある日突然に痛みや困難は襲ってきます。
そのような問題に対してもAIであれば解決することが出来ます。

(1)過疎・僻地(へきち)対応

少し前のデータですが日本には無医地区数は637地区、無医地区人口は124,122人(2014年10月末「平成26年度無医地区等調査及び無歯科医地区等調査の結果」厚生労働省)になると言われています。

そのような中、高知県高岡郡梼原町では「遠隔診療・医療用人工知能(AI)の実証研究プロジェクト」が始まっています。
具体的には、高齢化・過疎化が予想される中山間地域で医療サーヒスを将来にわたり確保する手段について実証研究です。


出展:https://www.mizuhobank.co.jp/release/pdf/20171121release_jp.pdf

(2)医療窓口での対応

私たちの一番身近な医療現場は「窓口対応」でしょう。
既に各種のロボットと組み合わせた対応がはじまっています。
問診をタブレット型コンピュータで事前に受け付けたり、AI接客型サイネージが適切な医療窓口を教えてくれたりと一番馴染み深いものになってきました。

医療についての不満をAIで解決する

ユーザー目線での医療への不満

病院やクリニックに行って長時間待たされ、診察や治療はわずか数分で終わってしまった経験を持つ方もいるでしょう。
医療機関への不満点は日本医師会の調査によると「待ち時間」がトップで44.4%、次に「医師の説明」が43.4%です。
待ち時間の解消と患者さんへの適切な情報提供をすれば満足度は大いに向上するはずです。

出展:「第5回 日本の医療に関する意識調査」(日本医師会総合政策研究機構)

では、どのようにこの待ち時間の解消と情報提供の最適化をすれば良いのでしょうか。

【待ち時間の解消】
医療機関には通院患者さん以外にも入院患者さん、各種公的機関、企業からも引っ切り無しに問い合わせが来ています。
同時にその問い合わせへの回答準備のために様々な発信をしています。電話をはじめメールやチャット、最近はSkypeなどのTV会議も頻繁です。

AIなら、それぞれの問い合わせに対して統合化した情報管理により自動的に対応できます。
問い合わせや発信データを電話、メール、FAX、対面、医師・看護師等の指示、あらゆるものから分類・整理しデータベース化し
「与えられたデータ」→「理解」→「推論」→「学習」(その繰り返し)
によって対応速度を上げ時間短縮を図れます。

【情報提供の最適化】
医療用語は難しい非日常的な言葉が多いです。
医師も正確を期すために病名(傷病名)も正確に言おうとしますが、普段聞き慣れない言葉は難しく聞こえますし理解しづらいものです。

例えば「かぜ」は「かぜ症候群」と言われる病気です。
「普通感冒」「流行性感冒(インフルエンザ)」「咽頭炎」「気管支炎」など主に上気道(空気の通り道)の急性の炎症を指します。

時間がなければ「かぜ」と説明され、時間があれば丁寧に上記の病名を解説してくれるでしょう。
どちらにしても患者さんにとっては短ければ「不親切」、長ければ「難解」と感じられてしまいます。
情報は「非対称性」を持っていますので、受け手によって理解度が変わってしまいます。

これを埋めるために何回でも問い合わせに応じてビジュアルに動画やアニメーションも利用して教えてくれるのがAIです。
対話型のチャットボット(チャット[おしゃべり]とロボットの組み合わせ)は日本語以外にも対応できますので外国人の患者さんにも安心してもらえます。

医療従事者のとりまく様々な問題

過疎・僻地での対応とは対照的に都市部では人口の集中化による医療業務負担が増大しています。
高度な専門的知識が必要な医療従事者は心身の緊張を伴う長時間労働と当直・夜勤・交代制勤務などにより、厳しい環境に置かれています。

そのような中で山のような書類の中から必要なデータを探す手間はとても大変です。
電子化されているものでも「かぜ」「カゼ」「風邪」「感冒」と表現が違っていたり、
数字が「全角」と「半角」が入り混じっていて同一のものとして検索できなかったりで、
人間が介在して判断をしなければならないことが多々あります。

AIは「あいまい検索」やサジェスト(検索履歴から予測)が得意ですからユーザー負荷を相当数減らしてくれます。

まとめ

このように身近な医療をとりまく様々な問題をAIによって解決する効果的なAIの姿が見えてきます。
特にコストパフォーマンスに優れたトータルシステムであることは「治療費」に寄与できる要素で見逃せないところです。
何もよりも患者さんにとっての身近な問題が解決でき医師や医療従事者の負担も軽減できる医療の全体最適に不可欠なAIの普及が必要です。
医療に関わる全ての人とともにAIで様々な問題を解決する方法を考える時期となっているでしょう。

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