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法務AIは何のために必要か?

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業務効率化

2019年04月17日

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日本もいよいよ訴訟社会に突入して来ました。それも海外との取引や契約だけでなく、国内の様々な出来事についても裁判沙汰が増えています。
とかく難解な法務の世界を人工知能(AI)の活用でもっと効率的で身近なものにすることが出来ます。
本コラムでは、法務AIの最新事情を、活用事例を交えながら解説していきます。

日本の法体系|六法とは

訴訟にまつわる仕事だけが法務ではありません。はじめに日本の法体系を少しみてみましょう。
「六法」は誰でも聞いたことはあるでしょう。でも直ぐに全部の法律名が出てくるのは法学部出身者くらいのものでしょうから、簡単におさらいをしておきましょう。

六法の体系は、「憲法」を頂点に「刑法」と「民法」の二本の柱で出来ています。
そして、それぞれの法律に「文句」(訴訟)が言えるように「刑事訴訟法」と「民事訴訟法」が牽制機能として律法されています。
一番、揉め事が多いのが商売に関することなので、「商法」だけ民法から独立した扱いで括っています。これで「六法」です。

六法の起源は、フランスです。日本では民法はフランスから憲法のような公法はプロシア(ドイツ)をお手本に明治時代に近代法が確立されました。
訴訟の精神はフランスの自由民権の思想から抵抗権を主張するために民衆が勝ち取ったものでした。
日本も21世紀に入り欧米的な個人主義や村社会からの脱皮を果たして訴訟社会に突入したわけです。

日本の訴訟の現状

日本の訴訟の現状を示す、一つの指標として最高裁判所の司法統計での訴訟の件数推移が参考になります。

12-1.jpg
(出典:「新受事件総数」http://longlow.hatenablog.com/entry/20151213/p1より)

世紀を超えて一時、訴訟数も落ち着いてきてはいますが、確実に訴訟数は増えています。
訴訟に至らなくても、契約書や行政手続きで法務事項は確実に増加しています。
個人情報の保護の法的制約も増え、つい最近では2018年にEUでGDPR(General Data Protection Regulation)が執行されました。
その影響は日本にも確実に及んでいます。このGDPRの刑罰は中々重いもので、最高刑は罰金(制裁金)2,000万EUR(日本円で約26億円)にも及びます。

法務にAIをどう使うか

法務での人工知能(AI)の活用は、何と言っても契約書に代表される法務文書の処理です。

【24時間を1分にした契約書チェック業務】
契約書審査を支援するAIでは、企業が契約書を締結する時に送られてきた契約書を
人工知能(AI)が一般的な契約書の書面と照合し、足りない項目を可視化します。
また同一内容と判定した文章を一文ずつ色付けして表示し、契約書のチェック業務を支援してくれます。

12-2.jpg
(出典:「契約書審査AI支援オプション」ITmedia エンタープライズより)

【条文の内容をAIがレビューし修正案を提案】
そもそも係争にならないように、企業間の契約の内容や契約書を作成する事前チェックが進めば、その後のビジネスの展開もスムーズに進むでしょう。
契約書や覚書などはかなりの文量があり、点検作業には相当な時間がかかります。
Webサービスで書類をアップロードするだけでリスク判定まで人工知能(AI)で行うことも可能です。
また、リスクの大きそうな条文については修正提案までしてくれると言う優れものです。

【法律家の「暗黙知」を学習】
機械学習の精度向上には学習データの数が必要です。
しかし裁判事例や判例には同じものはなく、類似判例から現在の案件がどう判断できるかを弁護士や法律の専門家の「暗黙知」となっている領域でチェックをして行きます。
この「暗黙知」の部分を人工知能(AI)に担わせようと言う試みもはじまっています。

争いの根本を人工知能(AI)によって減少させる

法務の効率化にAIを活用する事例をいくつかみてきました。より本質的なソリューションとしては、係争事項の削減と契約書の簡素化です。
そのためには、何よりもコミュニケーションの質の向上と相互理解の進展が必要です。

また、国際認証やISOのような標準化機構の認定を持つ場合には諸手続きの簡素化が出来るような仕組み作りも求められます。
かつては海外への出国や入国審査に多大な時間がかけられ空港業務が煩雑な時代がありました。
それがICTの発達で驚くほど簡素化され、精度も高められました。テクノロジーの活用は私たちに身近な恩恵を与えています。

そして、一方ではEUの形成のように「国境」自体のハードルを低め、共通通貨の設定により両替や為替などの金融業務を一気に効率化してしまう、パラダイムチェンジも人類は経験しています。
法務の効率化にAIを活用する方法は業務の中に取り入れて作業の代替えをAIにさせる場合と業務そのものを発生させない、問題解決ではない「問題解消」してしまうやり方があります。
前者はRPAでも多くはこなせますが、後者はAIによってのみ実現できます。
トラブルや係争のないシステムづくりや社会づくりにAIを利用することが求められています。これからはAIの力を使うことによって、もっと劇的な変化を期待できるでしょう。

まとめ

近代社会の礎である「法」を現在に最適解として適用させるのにAIへの期待は益々高まります。
法体系の特徴は上位法(憲法が最高位)が下位の法律や条例を拘束し、下位法で決定した事項でも無効にしてしまうことです。
部分最適でよしとしても全体最適が達成できなければ認められないわけです。そのためには、常に全体を見ながら個別も詳細に見ることが求められます。
「木を見て森を見ない」のではなく、「木も見て森も見て、大地全体も見る」ことが必要です。

これまで専門的な法律家や弁護士によって処理されていた案件も、AIの力によって私たちに身近なものになるでしょう。
弁護士費用が工面できずに泣き寝入りしていた庶民にAIはきっと大きな力を貸してくれるようになります。

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