在庫管理が決めての小売業のDX

わたしたちの生活で無くてはならない小売業。コンビニやスーパー、ドラッグストアなど利用しない日はないと思います。好きな時に欲しいモノが手に入るお店は、とても頼もしい存在です。
小売業はDX(デジタルトランスフォーメーション)も積極的に取り組まれている業界です。ITやシステム改革も旺盛に進められています。

しかし、思ったよりも成果が出ず、加えてコロナの影響で営業時間の短縮や外出自粛で向かい風にも晒されています。
この小売業のDX推進で効果的な方法や実践例をいくつか見て行きましょう。

既にDXに着手していても、これから取り組もうとする場合でも、きっと役に立つヒントがあると思います。

DX推進の成果の少ない小売業

小売業界ではDXが遅れていると言われています。2020年に経済産業省が公表した「DXレポート2」では「実に全体の9割以上の企業が DXにまったく取り組めていない(DX未着手企業)レベルか、散発的な実施に留まっている(DX途上企業)状況であることが明らかに」なっていると指摘しています。小売業でも沢山の実践の中、まだ成果に結びついていないと回答しているビジネスリーダーも多くいます。

出典:経済産業省「DXレポート2」中間取りまとめ

小売業の現状とDXの可能性

百貨店やホームセンターなどを除くと、小規模なお店も多いのが小売業の状況です。
日本の小売業の実態は、経済産業省の発表によると次のようになっています。

出典:「2020年小売業販売を振り返る」経済産業省

小売業販売額は146兆4,570億円(前年比-3.2%)です。業態別では、外出自粛と営業時間短縮の影響を受けて、百貨店、コンビニが減少(百貨店前年比-25.5%、コンビニ-4.4%)しています。

逆に「巣篭もり需要」の影響もありホームセンターや家電量販店などは増加し、マスクや医薬品の利用でドラッグストアは前年比6.6%増加しています。

マスクやトイレットペーパー、除菌剤など「在庫」の確保が店舗の売上の明暗を分けました。
サプライチェーンと商品提供の状況は、日本のマスク不足と台湾の潤沢な商品流通の違いが、DXの成否として如実に現れました。

DXを推進するRPAとAIの活用|在庫管理を効率よく進める

小売業の管理の基本の一つが在庫の管理です。コンビニエンスストアでも2,000アイテム前後の商品があり、それぞれに消費期限や在庫年齢が異なっています。
ニーズの高い商品を豊富に品揃えできれば、顧客満足度が上がることは無論、お店の売り上げや収益向上にもつながります。

1.定量点発注

ある一定の在庫量が下回った場合に決められた商品量を発注する古典的な注文方法です。発注点は「平均出荷量(1日or任意)×調達期間+安全在庫」で算出します。
一見簡単そうに思えますが、商品アイテムが多いと中々大変な作業です。

このようなルーチンワークであってもミスが無い様にするにはRPA(Robotic Process Automation)が向いています。現場で臨機応変に設定も変更でき、スピードと柔軟性に富んでいます。

2.季節変動・気温変化による発注数量の変化

コンビニの「おでん」や「冷やし中華」のように気温の変化や天候に左右される商品の注文は、従来はKKD(勘・経験・度胸)に頼っていた分野です。
現在では気象データ〜それも限られた地域の気象データとAIによる分析で、発注点を指示してくれシステムもあります。

3.話題の商品の見極め

テレビやネットで話題になると、爆発的に売れる商品が出現します。
最近では、お笑い芸人のネタに登場する「コーンフレーク」や芸能人の格付けチェックで休憩中に食べられた「お菓子」などです。ネットを中心にブームになり品切れが続出したり、売り上げが何倍にもなった例があります。

このような現象を勘や個人的感覚で探ることは困難です。

AIを利用したネット上のキーワード検索と解析、アクセス利用者層の分析などを通じて仕入担当者に的確なアドバイスをしてくれるシステムが必要です。

まとめ

世界的にもコロナの蔓延により小売業は大きな転機に立たされています。このような経済状況の中でも業績を伸ばしている企業もあります。DXの推進が成長の鍵になっています。
消費者と密着している業態だけに、消費動向に敏感に対応してニーズにあった商品提供を出来るかどうかが明暗を分けるでしょう。

そのためには、求められる商品の在庫があることが前提です。ニーズへの対応とは在庫の確保に他なりません。
どんなに顧客情報と商品情報の統合や分析、それによる販売の効率化、接客の省人化などが進んでもモノ(商品)が無ければ始まりません。

小売業でのDX推進は常に商品提供と連動した経営や組織の変革が決め手となります。そのためにRPAやAIの活用を進めて、DXを制することが競争優位に立てる条件となるでしょう。